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中国ICBMサイロ、ミサイル装填に向け作業が進捗 国基研の衛星分析で判明

産経ニュース / 2025年1月8日 19時43分

中国が北西部甘粛省玉門の砂漠地帯に大陸間弾道ミサイル(ICBM)用の地下式格納施設(サイロ)を建設している問題で、シンクタンク国家基本問題研究所(国基研、櫻井よしこ理事長)が衛星写真を分析した結果、これまで偽装網をかぶせていたのを取り外すなどミサイル装塡に向けた作業が進捗していることが分かった。警備施設、監視施設の建設も着々と進んでおり、サイロが運用開始間近であることがうかがえる。

完成近づく

中国はサイロの存在を公表していないが、玉門、新疆ウイグル自治区哈密(ハミ)、内モンゴル自治区杭錦の3カ所に広大なサイロ群を建設している。

玉門サイロ群では掘削作業隠蔽などのためドーム状天幕がかぶせられていたようだが、昨年4月の時点ではミサイル装塡のためか天幕は取り外され、代わりに偽装網がかぶせられているサイロがあった。内部の配線調整など実戦運用に向けた作業が行われていたもようだ。

昨年9月の衛星写真をみるとその偽装網も外されたサイロもあった。サイロの蓋(ふた)は約6メートル、ミサイルを装塡する車両用の台座約21メートル。まさに直径2・25メートル、全長13メートルとされるDF31シリーズミサイルが収まる大きさだ。4月と9月に撮影したのは同じサイロではないが次々にサイロが完成に近づいていることがわかる。

30年に米中戦力互角か

サイロ周辺には駐屯地や警備施設、監視施設が建設されている。9月の写真では警備施設に軍用車両が4台止まっているのを確認できる。車両の形状、大きさからみて、施設に1個小隊規模の警備部隊が駐屯していると推定される。

中国軍は昨年9月、サイロに装塡するとみられる固体燃料式のDF31AGを海南島から太平洋に向けて発射したが、ミサイルの実証試験だったとみられる。

中国国内で行う発射試験と異なり、太平洋上にミサイルを落とすとなると、米国などにミサイルの性能を示す電波信号を収集され、部品を回収されるリスクもある。それでもミサイル性能の秘匿よりも信頼性の検証を重視したといえる。

その理由として、国基研は「サイロ群での使用を念頭に置いたのではないか。最大射程で行われた可能性が大きく、弾頭が模擬である以外、実戦に即した飛翔だった」と分析する。

推定飛翔距離は1万1700キロで最大射程とされている1万1200キロを超えていた。この意味するところは中国が首都ワシントンまで到達できるICBMの実証試験の成功を米国に見せつけ、DF31AGを今後サイロ群に実戦配備していく姿勢を示したといえる。

現在中国軍が保有しているICBM発射機およびサイロは140基だが、3カ所のサイロ群全てが運用を始めると約450基になると見積もられている。米国が保有しているサイロは約400基であり、2030年には米中両国のICBM戦力が互角になる可能性がある。

国基研は「サイロ群の運用開始で中国の核戦力は大幅に増強される。発射実験が中国の発表通り成功だったとすれば、米国との相互確証破壊戦略に向けた大きな一歩になる」と指摘。核戦力で米国と互角になれば中国が「核大国」として振る舞い、核保有国のロシアが非核保有国のウクライナを侵略したように周辺国に対し力による現状変更を推し進めることも予想されるだけに、日本としても抑止力強化に向け対応を急ぐ必要があると警鐘を鳴らす。

(有元隆志)

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