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「欧州圏への従属」脱却で発展目指す ハンガリー、中国首脳が会談 関係深化を確認

産経ニュース / 2024年5月10日 11時43分

【ロンドン=黒瀬悦成】欧州歴訪中の中国の習近平国家主席は9日、最後の訪問国ハンガリーの首都ブダペストで同国のオルバン首相と会談した。両国はインフラ整備や投資拡大、原子力協力などをめぐる18の合意文書や覚書に署名。オルバン氏は会談後の記者発表で「中国は多極化する世界の柱の一つだ」と称賛し、ハンガリーを中東欧の主導的国家に成長させるため中国との関係を一層緊密化させていくと表明した。

習氏によると両首脳は2国間の関係を「新時代における全天候型の包括的戦略パートナーシップ」に格上げすることを確認した。

習氏はまた、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として、ブダペストとセルビアの首都ベオグラードを結ぶ中国資本主導による高速鉄道計画の実現を急ぐ考えを明らかにした。

一方、オルバン氏は原子力発電所建設を含む自国の原子力政策に関し、中国の大型支援を通じて原発の発電能力を2030年代初頭までに現在の60~70%増に押し上げると表明。「中国からの投資はハンガリー経済の発展への大きな機会となる」と強調した。

ロシアに侵略されたウクライナの情勢については「即時停戦と和平交渉に入るべきだ」と訴えて中国の和平提案に同調する立場を示し、米欧諸国によるウクライナ支援の姿勢と改めて一線を画した。

欧州連合(EU)からメディア規制や人権抑圧などの強権統治を批判されるオルバン政権は、西洋のキリスト教的価値観や歴史的伝統を尊重しつつ、欧州域外の国々と重層的な関係を結んでいくことで発展を図る「コンティニュイティー(関係構築)戦略」を打ち出している。

オルバン首相の重要側近であるバラズ・オルバン首相府政務代表は政策研究機関「欧州外交問題評議会」への寄稿などで「米国主導の一極主義的な世界秩序は正当性を失いつつある」と指摘。ハンガリーがこのまま欧州圏の枠内にとどまれば「従属的役割に甘んじ続けることになる」とし、多極化世界の一角を占める中国への接近こそがハンガリーの途上国脱却への突破口になると主張した。

オルバン政権の「成長志向」は、かつてオーストリア・ハンガリー帝国として栄華を誇った祖国が第一次世界大戦での敗北でオーストリアとの分離を強いられ、東西冷戦期にはソ連の衛星国として抑圧された一連の暗い歴史を清算し、過去の栄光を取り戻したいとする愛国主義的発想に基づいている。

首相はこの日、「ハンガリーによる20世紀は恥辱の世紀だった。21世紀において、私たちは中国をパートナーにして勝利を果たす」と強調した。

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