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台湾包囲演習、「威圧」から「実戦」へ 中国、「エネルギー供給封鎖」能力を誇示

産経ニュース / 2024年10月15日 10時44分

【北京=三塚聖平】中国人民解放軍は14日に今年だけでも2回目となる台湾を包囲する海空域での軍事演習を実施し、「台湾独立派」とみなす頼清徳政権への圧力を増した。中国軍は2022年以降、台湾の民主進歩党政権への対抗措置を名目に演習を定例化させており、威圧に留まらず「実戦能力」を着々と高めているとみられる。

中国軍で台湾方面を管轄する東部戦区の報道官は14日、「連合利剣-2024B」と名付けた今回の演習について「主権を守り、国家統一を守る正当で必要な行動だ」と主張した。台湾の頼総統が10日の演説で「国家の主権を堅持し、侵略と併呑を許さない」と述べたことに中国側は強く反発しており、対抗措置として軍事演習のタイミングを探っていたとみられる。

中国軍は今年5月にも台湾を取り囲む形の演習「連合利剣-2024A」を強行しており、今回は第2弾の位置づけだ。前回は2日間だった演習期間が1日間に短縮されたほかにも違いはいくつかある。

まずは実施時間だ。東部戦区は14日午前5時(日本時間同6時)に演習実施を発表した。中国メディアは、夜間のうちに始まった今回の演習を通じ「いつでも訓練から戦闘に切り替えることができる」と中国軍の即応性を証明したとしている。

中国軍に属する国防大学の教授は、今回の演習の重点について「台湾の主要な港を封鎖する訓練を行った」と中国メディアに語った。台湾の液化天然ガス(LNG)の供給ルートを断つ狙いがあるといい、「今回の演習を通じてエネルギー資源の輸入を封鎖する能力を持っていることを台湾側に示した」と強調した。

また、空母が参加して台湾本島の東側に展開し、多方面から台湾を封鎖する能力を誇示したのも5月の演習と異なる点だ。中国で海上警備を担う中国海警局(海警)も軍と歩調を合わせ、台湾の周辺で船隊がパトロールを行った。海警は前回演習でも動いていたが、今回は4つの編隊が台湾本島を一周する形で実施したという。海警は中央軍事委員会の指揮下で「第2海軍」化が進んでおり、台湾への対応でも前面に出てきている。

台湾周辺での大規模演習は、ペロシ米下院議長(当時)が訪台した22年以降毎年1回は行われ、常態化している。22年に7日間にわたり続いた演習では、弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)にも着弾して地域の緊張が高まった。今回は、現時点で弾道ミサイルの発射など実弾を使った演習は確認されていない。弾道ミサイル発射などに踏み切れば、米国に介入の余地を与えると判断した可能性がある。

米国務省は今回の軍事演習に懸念を表明したが、中国外務省の毛寧(もう・ねい)報道官は14日の記者会見で「台湾は中国の一部だ。台湾問題は中国の内政であり、いかなる外からの干渉も許さない」と述べて反発した。

習近平国家主席は9月末にも、台湾問題に関して「台湾は中国の神聖な領土だ」と強調し、改めて「統一」に向けた決意を表明した。頼政権は統一圧力に対抗する構えを崩しておらず、中国側が台湾への圧力を強化し続けるのは間違いない。

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