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中国EV、欧州に工場進出ラッシュ 追加関税の回避に布石 習氏訪問の仏、ハンガリーでも

産経ニュース / 2024年5月7日 10時34分

中国の習近平国家主席が、欧州連合(EU)との電気自動車(EV)を巡る通商摩擦のさなか、欧州歴訪を開始した。EUが「追加関税も辞さず」の立場で輸出攻勢に歯止めをかけようとするのに対し、中国は障壁回避に向けて、続々と欧州に工場を建設している。

欧州では最近、中国EV産業の進出ラッシュが続く。

習氏の最初の訪問国フランスの北部では、遠景科技集団(エンビジョングループ)傘下企業がEV電池工場を建設。今年内にも稼働し、仏自動車大手ルノーに供給する。マクロン仏大統領の肝いりで進むEV産業地区の一部になる。

8日に訪れるハンガリーでは昨年12月、中国EV最大手の比亜迪(BYD)が、欧州初の乗用車組み立て工場を建設すると発表。EV電池の最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)のギガ工場建設も決まっており、ドイツに次ぐ2番目の欧州工場になる。

スペインの日産工場跡地にも

スペインでは自動車大手、奇瑞汽車がEV生産計画を発表した。閉鎖された日産のバルセロナ工場の跡地を使う。浙江吉利控股集団の傘下にあるボルボは、スロバキアに新工場を建設する。

「遅れてはならない」とばかりに、イタリアのウルソ企業相は2月末、自動車産業誘致のため、中国企業と交渉中だと明らかにした。巨大経済圏構想「一帯一路」を離脱した後も、中国に熱い視線を送る。

マクロン仏大統領、フォンデアライエン欧州委員長は習氏と6日に会談し、貿易を巡って「公平なルール」を求めた。中国が補助金で国内メーカーを保護し、EU市場に安売り攻勢をかけるのは困るということだ。一方で、欧州で生産してくれるならば歓迎するという立場。米国が中国との技術競争でしのぎを削り、サプライチェーン(供給網)から中国排除を強めるのとは姿勢が異なる。

「受け入れ競い合う」

米調査会社ロディウム・グループは「米国は中国からの投資を厳しく精査するが、欧州は中国のEV企業受け入れに熱心。有利な条件で受け入れを競い合っている」と分析した。米国では規制の高まりで、中国のEV関連投資が激減しており、欧州や中東、アジアに流れているという。

EU欧州委員会は昨年10月、中国製EVに対する調査を開始した。中国の補助金でEU市場で不当競争をしていると判断すれば、追加関税をかける構えだ。ロディウムは習氏訪欧を前に、欧州委が15~30%の課税に踏み切るとの見通しを提示。輸出攻勢に対して効果を生むには「40~50%にする必要がある」と試算した。

昨年、EUの輸入EVのうち37%を中国製が占め、総額は115億ドル。20年の約7倍に相当する。(三井美奈)

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