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イランで改革派大統領が就任 対米関係改善なるか、国内改革には限度も

産経ニュース / 2024年7月28日 17時52分

【カイロ=佐藤貴生】イランで改革派のマスード・ペゼシュキアン元保健相(69)が28日、最高指導者ハメネイ師の認証を受けて大統領に就任した。任期は4年。保守強硬派のライシ前大統領の在任中、対米関係は悪化して経済も低迷した。有権者の期待通り、外交や経済面で改革が実現できるか注目される。

欧州と「建設的な対話」望む

首都テヘランで行われた式典で、ペゼシュキアン氏は「正義を追求し、法に基づいて尊厳を回復する」と抱負を述べた。30日に国会で宣誓式を行い、8月中にも新内閣が発足する。

ペゼシュキアン氏は、イランが核開発を制限する見返りに欧米が制裁を解除する核合意(2015年)の再建を通じ、経済低迷の打開を狙う。7月12日付の英字紙テヘラン・タイムズ(電子版)への寄稿では、中露との関係を重視する一方で欧州との「建設的な対話」を望むとし、米国には敵視政策の修正を求めた。

米国の反応は冷ややかだ。国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は7月上旬、核合意の協議再開の予定はなく、イランで変化が起きることは「期待していない」と述べた。

トランプ氏はさらに厳しい態度

米共和党大統領候補のトランプ前大統領は、さらに厳しい態度を示している。7月中旬の候補指名受諾演説では、イランは「核兵器保有に近づいている」との認識を示した。大統領に復帰すれば、1期目のようにイランに「最大限の圧力」をかける可能性がある。

内政でも、改革に意欲をみせるペゼシュキアン氏が手腕を発揮できる分野は限られるとの見方がある。イランでは大統領は行政の長に過ぎず、国政全般の決定権を握るハメネイ師の判断が大きく影響するからだ。

例えば、22年に女性を中心とした大規模デモが起きた頭髪を覆うスカーフ(ヘジャブ)の着用義務の問題は、政教一致体制の基盤をなすイスラムの価値観と密接な関係がある。国家の権威や社会の秩序を重視するハメネイ師が、態度を軟化させることは考えにくい。

「体制内」の改革派

そもそも、ペゼシュキアン氏は「体制内」の改革派で、選挙戦中からハメネイ師に忠誠を誓っていた。ロイター通信は体制の不人気による低投票率を懸念したハメネイ師ら指導部が、体制に従順で有権者の目を引く候補として同氏を選び、出馬を認めたと伝えた。

選挙の投票率は体制の信認度合いの目安とされるが、ここ数年の大統領選や国会選は50%を割る事態が続く。改革派大統領には国内外で困難が待ち受けている。

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