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【盲導犬候補を育てる】パピーウォーカーの10か月に密着(静岡・掛川市)

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年4月22日 1時9分

Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

視覚障害者のパートナーとなって生活を支える盲導犬。

その活躍の裏には、幼少期の盲導犬を育てる”パピーウォーカー”というボランティアの存在があります。

その10か月に及ぶ活動を追いました。

(児玉美智子さん)

「ティファニー。ゲンちゃんが来てって言ってるよ。ティファニー、おいで」

掛川市の児玉さん夫婦と暮らすラブラドールレトリーバーのメスの“ティファニー”。生後6か月の子犬です。

この家にやって来てまだ4か月ですが、ティファニーのここでの生活にはタイムリミットがあります。

(児玉さん)

「あと半年ですよね・・・」

ティファニーはただのペットではなく、これから盲導犬になる訓練を始める“候補犬”なのです!

その厳しい訓練に入るまでの間、児玉さんの家でたっぷりの愛情に触れ、人間とのコミュニケーションを学びます。

児玉さんはそれをボランティアで行う、その名も“パピーウォーカー”。

(児玉さん)

「この子は元気です。ものおじしないし」

家では、11歳のウィッシュも一緒に暮らしています。

(児玉さん)

「ワンツーワンツー (トイレの合図)」

パピーとは子犬のこと。まずは基本となる食事やトイレのルールを覚えさせたり、外の環境に慣れさせたりしながら、将来、立派な盲導犬になれるようにたくさんの愛を注いで、人間との信頼関係を築くことが、パピーウォーカーの大切な役割です。

しかし、その期間は生後2か月から1歳になるまでのわずか10か月ほど。その後は、盲導犬協会の訓練施設に送り出さなければならないのです。

(児玉さん)

「子犬のやんちゃな時に来て、だんだんお利口さんになってきた時に、わかるようになってきたね、の時に出ていく。預かる10か月間が一番かわいいとき。」

児玉さんは、ティファニーの前にも9頭ものパピーを育てあげたベテランパピーウォーカー。その始まりは30年前。

(児玉さん)

「きっかけは犬を育てたかったんですよ。ただ育てるだけじゃなくて、子供たちにとっていいきっかけになることはないかな?と思ったときに、ちょうど雑誌を見ていたら、パピーウォーカーの特集をしているページがあって」

子供たちの心の拠り所になってくれればと、パピーを育てることを決めたのです。

 

現在、国内の視覚障害者で盲導犬のサポートを希望する人は、およそ3000人。しかし実際に活動している盲導犬は836頭と、全然足りていないのです。

その理由の一つに高額な盲導犬の育成費があります。

一頭当たり500万円必要ですが、その9割を寄付で賄っているため、育成頭数を増やすことが難しいのです。

さらに、訓練を受けても実際に盲導犬としてデビューできるのは、わずか3割~4割ほど。

しかし、そんな厳しい道を乗り越えデビューした盲導犬は、目の不自由な人にとって生活のサポートはもちろん、時には命も守ってくれるかけがえのないパートナーとなるのです。

その最も重要なベースを形成するのが、パピーウォーカーに育てられる10か月間なのです。

(盲導犬ユーザー)

「人から深い愛情を受けて育ってきた独特の暖かさ、快活さ、明るさがありまして、すてきな方に育ててもらってここにきてるんだな~」

そんな盲導犬を目指して歩き出したティファニーはというと…

(児玉さん)

「乗っちゃった!ダメダメダメダメ」

かまってほしくて、児玉さんの孫の元気くんに飛び乗ってしまいました!

(児玉さん)

「ティファニーいかんね。」

やんちゃなティファニーが元気くんは少し苦手です…。

(児玉さん)   「子供が好きなのね。」

(喜嶋日菜 記者)「遊んでほしいんですかね?」

(児玉さん)   「そうそうそう」

そんなティファニーも、盲導犬になる基礎を身に着けるため、2か月に1度、しつけ教室に通っています。

(児玉さん)「よし、来い。ついて~座れ。」

(講師)  「ティファニーちゃんは待つことが上手すぎて」

やんちゃでおてんばだったティファニーが少しずつ大人に成長していました。

わが子のようにおしゃべりをしたり、一緒におでかけをしたり、児玉さんたちがティファニーへ愛情をたっぷりと注ぎ、あっという間に時は過ぎていきました。

孫の元気くんも、少しずつ、心許せるように。

(元気くん)

「ティファニー座れ。ティファニー座れ。お散歩に行くよ。」

訓練施設に送り出すまで、残り1週間…

(児玉さん)

「この子たち、絶対覚えてくれるなと思っているから。だから、寂しくはないです。」

これまで、9頭のパピーを育てた児玉さん。その子たちが盲導犬になっていくことに”子育て”のような喜びを感じているといいます。

(児玉さん)

「盲導犬の訓練を受けて、盲導犬の自覚、顔つきが変わって成長していく姿を見て、いいなと思った。」

この“やりがい”が30年も活動を続けている理由です。

そして、3月10日。ついにお別れの日。盲導犬協会にティファニーを引き渡します。

(児玉さん)

「私には甘えてくるけれど、入学したらしっかりやってくれるかなと期待しています。」

この日は他にも、5組の家族からパピーが引き渡されました。

ティファニーも何かを感じているのか、落ち着かない様子。

そして、、

児玉さんとティファニーを10か月間つないでいたリードを、盲導犬の訓練士へ託します。

        

(児玉さん)

「やっぱりね、と思いました。ティファニーがあんなに小躍りしていって、若いお姉さんに連れられてニコニコしていきましたよね。だから心配していません。」

ティファニーはこれから盲導犬になるため、およそ1年間の厳しい訓練に臨みます。

(児玉さん)

「犬は、私のところから盲導犬に育てられて、ユーザーさんのために動いて、お役目が終われば、また違うボランティアさんに引き取られて、いろいろな人にその場その場で愛される。こんなに愛される犬を育てるって、すごくない?楽しくない?って皆さんに伝えたいと思っています。」

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