【静岡知事選】リニア問題どうあるべきか?候補の考えを問う
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年5月23日 18時15分
リニア新幹線の問題は、今度の日曜日が投票日の県知事選挙でも大きな争点となっています。
新しい知事はこの問題にどう向き合うのか全国からも注目が集まっています
知事選に立候補しているのは、届け出順にいずれも新人で、
諸派の横山正文さん56歳。
共産党の森大介さん55歳。
無所属で立憲民主党と国民民主党が推薦する鈴木康友さん66歳。
無所属で自民党が推薦する大村慎一さん60歳。
無所属の村上猛さん73歳。
無所属の浜中都己さん62歳 の6人です。
知事選の争点となっているリニア新幹線とは、東京・品川から名古屋までわずか40分、大阪まで67分と日本の三大都市圏をおよそ1時間で結ぶ巨大プロジェクト!
県はこれまで、県内を通る区間のトンネル工事を認めてきませんでした。
当初、リニア新幹線は、品川駅から名古屋駅間で、2027年に開業する計画でした。
しかし…
(JR東海 丹羽社長)
「残念ながら品川~名古屋間の2027年の開業は実現できない」
ことし3月、JR東海は、「静岡工区の工事の見通しが立たない」ことを理由に断念。開業は最短でも、2034年以降となりました。
JR東海は、静岡県の問題が要因だと説明する一方で、山梨県の駅や、長野県の高架橋などの工事も遅れていて、27年には完成できないことが明らかに。
これに対し川勝前知事は、“皮肉”を込めたコメントを退任の日に残しました。
(川勝前知事)
静岡県のみならず、岐阜県・長野県・山梨県でも工事が遅れていることがはっきりと致しました。これらは、いわば不都合な事実というべきもの『くさいものに蓋をする』といった感のある、従来のJR東海の姿勢が一新したという風に思います。
トンネルを掘削する前に、地質や湧き水の状況を調べるために実施されるのが、「ボーリング調査」です。
山梨県側から静岡県側に向かって進めているボーリング調査に関して、これまで県は、「静岡側の地下水が流れ出る可能性がある」と指摘し、県境から山梨県側に300メートルの区間の調査を認めてきませんでした。
この調査は、機材の点検もあり一旦中断していましたが、JR東海が今月20日より再開。
この調査に難色を示し続けていた県の専門部会ですが、先週、態度を一転。調査を「容認」したのでした。
(森下 部会長)
専門部会として、JR東海が計画している高速長尺先進ボーリングは、提示された湧水管理やモニタリングが確実に行われることで、一定のリスク管理がなされると、技術的な観点から確認ができた」
JR東海は、湧き水対策として、大井川上流にある田代ダムが、工事によりで来年11月まで取水を停止している期間を利用して調査を実施することから、大井川の水量は減らないと説明しています。
ボーリング調査について新たな知事がどう判断するのか注目されますが、水問題については心配な問題も。
岐阜県瑞浪市大湫町。この町は、愛知県にほど近く、地下でトンネル掘削工事が進められています。
(住民)
「これが井戸、今、水面は見えんね」
こちらのお宅では井戸水が、先月下旬ごろ、枯れてしまったといいます。
JR東海によりますと、この地域で共同水源や個人用の井戸など、あわせて14か所で水位の低下を確認し、一部は、枯渇しています。
これを受けJR東海は今週20日、工事を中断。住民からは厳しい言葉が…。
(住民)
「JRの人からきちっと報告を聞いてなかった(対応が)遅いと思います」
JR東海は、岐阜県の問題はトンネルの近くで起きた事象であり、工事予定地と大井川の中下流域までの距離が離れている静岡工区とは「状況が全く異なる」と話していますが、工事による影響が浮き彫りとなる事態となりました。
リニア新幹線について、鈴木さんと大村さんは事業の「推進」を明言していて、森さんは中止を求めています。
今回の岐阜の問題に関して、各候補の受け止めは…
(鈴木康友氏)
「しっかり因果関係を、どの範囲でどういう影響が出たのか、まずはしっかり公表してほしいと思う。水の問題や生態系の保全の問題をないがしろにして、工事を進めていくことはない」
(大村慎一氏)
「今回の井戸水が枯れた問題について、JR東海の対応が遅かったということは、あくまで報道を見た限りですけどもかなり明らかだし、地元の方が極めて強いお怒りをもっていると。事が起こった時の地域や行政との信頼関係、今回の対応は報道を見る限りでは極めて遅かった。極めて問題意識をもっている」
(森大介氏)
「リニアは、大深度の地下のトンネルを掘るという事で、地下水脈を破壊するという問題がある。その点で住環境にも影響が及ぶという事で、決して岐阜県だけの話ではなく、工事が進めば進むほど、そうしたトラブルが繰り返されるのではないかと危惧しています」
また、県の専門部会が容認したボーリング調査に関しては…
(鈴木康友氏)
「調査なくして推測で物を言っても仕方がない。調査することによって、いろいろなことが解明される部分もあると思うので、私はやはり調査はすべきだと思います。利水協議会の方も、ボーリング調査について否定的ではない。ご理解得られれば進めていく必要がある」
(大村慎一氏)
「地元の意向、専門部会の技術的な判断。これは尊重していく必要があると思う。ただですね、井戸水が枯れた問題、技術的な問題というよりも、なぜああいった問題が発覚したときに3か月も放置されていたのか。県に対して報告が3か月無かった。岐阜県でどういう誠意ある態度をJR東海が示せるか、こういったことも含めて(ボーリング調査を)総合的に判断したいと思う」
(森大介氏)
「県の専門部会は、科学的・工学的な検証をやっているところ。今回調査にあたってのしっかりとしたルールを確立してやるということで、そこでの合意を得てやるということなので、その結果は注視してまいりたいとは思う」
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