女子大生から見た18歳選挙権の期待と課題
政治山 / 2015年6月9日 11時40分
選挙で投票できる年齢を18歳に引き下げる公職選挙法改正案が今国会で審議されています。法律の公布から1年以上経過した選挙に適用されるため、6月下旬ごろまでに成立すると、2016年夏の参院選は18歳、19歳でも投票できるようになります。また、同時に少年法や民法の年齢規定も、18歳を境目に変更しようという議論があります。そこで、若者の政治に対する意見を発信するメディア、「政治美人」(http://seiji-bijin.com/)を運営している慶應義塾大学4年生の相川美菜子さんに、18歳選挙権の実現が持つ可能性について伺いました。
「政治美人」ホームページ
若者の意見を発信するプラットフォーム
――まずは政治美人について教えてください。
「政治美人とは、“若者の政治に対する意見を発信するためのウェブメディア”のことです。2014年の夏に私がほぼ1人で立ち上げたサイトだったのですが、現在は運営メンバーも増え、都内の学生10人程度で運営をしています。インタビュー記事の作成、イベントの開催、メディアの広報などが主な活動です」
――美人!?ということは、美しい女性がたくさん登場しているのでしょうか。
「いいえ。“政治美人”は“政治や社会問題に対する問題意識を持ち、かつ自分の意見を主張できる全ての男女”という独自の定義を持っています。そのため、男性、女性ともに、容姿の美しさは一切問いません。ちなみに、“美人”という言葉を使った理由は、政治に関心がない人にも、目を引く言葉で政治に関心を持つきっかけを提供しようと考えたためです」
――政治美人は何を目的として活動されているのですか。
「目的は、大きく分けて2つあります。1つ目は、『若者の政治に対する意見を発信する』こと。今の若者は、投票率が低いために政治に無関心だと見なされがちですが、私たちにだって政治や社会に対して思っていること、言いたいことはあるんです。しかし、現実社会でそれを発信する機会はなかなかないですし、そんなことを言うと、“意識高い系”みたいに思われてしまうため、口にしにくい空気もあります。だからこそ、上の世代にも私たちの声を聞いてもらうためのプラットフォームのような、若者の“発信の場”としての役割が、政治美人にはあります」
「そして2つ目の目的は、『政治に関心がない若者にも、関心を持つきっかけを与える』こと。やはり、政治に関心が持てない若者も多くいる、というのが日本の現状です。そこで“美人”という言葉とポップなデザインによって、“政治”に抱くネガティブなイメージをポジティブに変え、より多くの若者が政治に関心を持つきっかけを与えようとしています。若者の政治への関心を高めるという活動としては、若者の投票率向上の啓発も呼びかけており、実際に実績が出ています」
政治参加への意欲を高めるシティズンシップ教育
――そのような若者の政治意識向上のためのメディアを運営される相川さんは、選挙権の18歳への引き下げに関してどのようにお考えですか。
「これからの日本の未来を支える若者の声を、より多く取り入れようという政府の取り組みには大賛成です。国際的に見ても、選挙権年齢は18歳以上の国がほとんどなので、国際的調和が図られるという点も評価されていますよね」
「私が特に良いと思っているのは、18歳に引き下げることで、対象範囲が高校生にまで下がることです。そうすることで、クラス単位で授業の一環として選挙に行くように呼びかけたり、近所の友達とも投票に行く機会が作れたりすると考えられます。最初は“政経の授業の宿題”になったとしても、それをきっかけに政治を考え、選挙に行く習慣がついてくれれば良いですよね」
――高校生が政治参加することについて課題はありますか。
「知識が乏しい若者が投票するのは危険だとか、どうせ投票率も低いのだから税金の無駄遣いだ、という議論はありますよね。現状ではそうかもしれませんが、だからこそ高校の教育から変えていくべきだと思います。現在行われている、“教科書に載っている制度や仕組みをただ暗記する政治の座学”だけではなく、“今行われているリアルな政治”を教えることが必要とされます。もちろん、それができる先生が恐らく少ないことも問題ですし、かといって、教師が持つ特定の政治的思想が生徒に植えつけられてしまうのもよくないことです。だから、時事問題や選挙の大切さを正しく教えられる教師を増やす仕組みを作ることも必要なのではないでしょうか」
――政治美人としては、選挙権の引き下げに向けて、どのような活動をされているのですか。
「政治美人コンテストと題して、“若者の投票率を上げるためのアイデアコンテスト”を実施したり、高校生メンバー主体で、高校生へのヒアリング調査などを行っています。やはり政治の世界にはなかなか届かない、18歳、19歳の“生の声”を知ることが大事ですからね。最近、選挙権の18歳への引き下げを機に、若者の政治への関心についての問題がより注目されています。このチャンスを生かして、私たちも、一若者として、いま自分たちにできることを考え、常に全力で、主体的に、問題に取り組んで行こうと思います」
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