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有明海苔、今年も不作 3年連続50億枚以下か 入札平均単価30円超

食品新聞 / 2025年2月5日 16時30分

ニコニコのりの白羽清正社長が、1月28日に行われた春の新製品発表会で、現在の海苔生産状況について、次のように語った。

  ◇  ◇

昨年11月に始まった2024海苔年度の共販(入札)枚数は年産40億枚台水準で推移しており、3年連続で50億枚を下回る可能性がある。

一昨年の2022海苔年度は、栄養塩不足をもたらす“最凶”の植物プランクトン「ユーカンピア」による赤潮が発生。海苔の色落ちをもたらし、漁期を通じて漁獲量に悪影響を与えた。

翌2023海苔年度も漁期が進むにつれて、降水量減少による栄養塩の低下が見られた。

現在の海苔養殖では、種付けした網を一部冷凍庫で保管し(=冷凍網)、それ以外を「秋芽網」としてまず海に張り出す。

今年度は、秋芽網を投入した11~12月時点で海水温が平年より3℃近くも高かった。どれだけ異常事態なのかは、入浴時の適温をイメージすると実感しやすいだろう。現時点でも1~2℃高く、地球温暖化の影響が顕著に表れている。

加えて、まとまった降雨がないため海に栄養が補給されず、急激な栄養塩の低下が見られる。佐賀では12月の降水量が平年比2割にとどまった地区もあるほどだ。

昨年度、福岡・佐賀では栄養塩の回復を期待して秋芽網の撤去後に冷凍網の張り出しを遅らせたが、残念ながら減産につながった。今年度も佐賀・福岡では冷凍網の張り込みを延期する事態に陥っているうえ、熊本でも一部で延期を決めた。いかに海況が悪いかが分かる。

乾海苔共販の平均落札価格は23年度の23.95円から30.41円(1月26日時点)に上昇している。主な要因は二つ。一つ目は、2年連続の不作により漁期開始時点で海苔商社らのキャリーオーバー(繰越在庫)が底をついていたこと。二つ目は、商品化しやすい品質の海苔が少ないこと。平年作なら無札で終わった海苔も落札されており、商品化しやすい質に限れば平均単価はさらに高くなる。

当然、海外産の比率は年々増加しており、23年は24.2%でほぼ4枚に1枚。IQ制度で輸入枠が定められているが、今後も引き合いは強くなるだろう。

ただし、韓国原料は昨年度、平均単価が8.64円から17.19円に急騰した。背景には日本の減産に加えて韓国国内・世界的な海苔需要の増加があり、激しい取り合いが起こっている。

その結果、今年は中国産への注目度が高まっている。すでに弁当・惣菜や回転寿司、コンビニなど業務用で使用され、特に23年は数量が大きく伸びた。色(黒さ)で秀でる韓国産よりも、有明海産に近い旨味があるのが特長。当社も今春の新製品で家庭用の焼海苔を上市する。

3年連続となり心苦しいが、今年も値上げは避けられない。その分、国産海苔を使って海苔の価値を感じられるおいしい商品作りに注力する。価格ではなく、おいしさで価値を感じてもらえなくなった時が、本当の海苔離れだと考えている。

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