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70代女性も。高齢者利用が急増! 女性用風俗を利用するシニア世代の驚きの実態…女性もお金を払ってスッキリ遊ぶ時代に

集英社オンライン / 2024年4月14日 19時0分

20代女性と”交際”する89歳男性の活力…「女性のエクスタシーを見るのが好き」交通費に毎回2万円を渡す理由〉から続く

厚生労働省の発表によると、日本の2023年の平均寿命は、男性81.05歳、女性87.09歳。超高齢社会に突入しつつある日本における、高齢者の「セックス」の実情を描いた書籍『ルポ 高齢者のセックス』が刊行された。同書より一部抜粋・再構成し、セクシャルウェルネスが充実することで、生き甲斐を得ている高齢者の証言をレポートする。パパ活を超えた、ジジ活に励む男性の実態とは。

女性用風俗を利用するシニア女性の実態

2017年頃から女性用風俗が急激に増え始めた。女性用風俗店とセラピストの最大手情報サイト『Kaikan』にはお店が306店舗、セラピストが5449人登録されている(2023年12月現在)。ここに登録されていないお店やセラピストもいるだろうから、裾野はさらに広いことが窺える。



以前、筆者は〝大人の女性のラブメディア〟というキャッチコピーを掲げた『JESSIE』というウェブメディアの編集長をしていたことがある。

このメディアが立ち上がったのは2013年11月なのだが、レズデリヘルや出張ホストの体験記やセックスレスの記事をアップすると非常にアクセスが良く、まさに跳ねるという言葉がぴったりで、あっという間にランキングの1位になり、人気のある記事だと2〜3か月ずっとランキング上位にその記事が入っていたこともあった。

自らの性生活について悩む女性が、女性でも利用できる風俗のようなものを求め、その情報を欲しているのだなと肌で感じたものだった。

女性用風俗や出張ホストは2017年以前にもあったが、今のようにしっかりとお店を構えて、様々な人が使いやすいというものではなかった。利用者は、性的にかなり解放された女性と、悩みを持つと同時に自由になるお金がある程度ある中年女性という、限られた人が利用するものだった。

しかし近年、若くてイケメンのセラピストが増えたことで20〜30代の利用者や働く女性もユーザーとなり、パイ自体が増えているというのが女性用風俗が急増した要因だ。

ところで、高齢女性の利用状況はどのようになっているのだろうか。大阪にある女性用風俗「LADIES FIRST」のスタッフはこう述べる。
 

「70代が最年長。メイン層は40〜50代でここがほぼ占めています。60代以上は割合としては少ないのですが、これはネットが使えないためにアクセスできない方が多いことが理由になっていて、潜在的な需要はあると思います。ネット以外のところでつながるために、新聞のような紙媒体への広告を考えています」

これまで利用した高齢女性たちはそれぞれタイプが異なり、利用に至った経緯も違うストーリーがあったそうなのだ。同店の料金は、デートコースが60分6000円、マッサージオンリーコースが120分1万円、心身デトックスコースが120分1万5000円だ。ステイパック12時間5万円などというロングコースもある。

「単純に性欲を発散したいというタイプの方もいれば、女性として扱われたいタイプ、男性と話をしたいタイプ……という3パターンが多いですね。共通するのが、『自分がこういうお店を利用することについて、間違ってないですよね?』と確認したい思いを抱えていることです。一人ひとり話を深く聞いていくと、配偶者とのセックスで痛みを感じていたり、身勝手な夫の『若くて可愛い子なら性欲も湧くし、勃つけれど、妻とは無理』というような態度に傷ついていた方もいました」(同店スタッフ)
 

更年期以降の女性では、性器が乾燥しがちになったり、膣壁が薄くなったりして、痛みを感じやすくなる人もいる。そういった部分で悩む人もいるだろう。

「濡れる、濡れないといった部分は感情の問題も大きいので、いかに感情を動かせるかにかかっていますね。普段のセックスでは準備が充分に整わないうちに挿れられてしまうということもあるのかもしれませんが、女性用風俗では様々な方法で外からアプローチすることができるので、性器周りの健康も改善できると思っています。でも、肝心の女性自身が、性的な体の悩みも改善できる場所だと思っていないので、もう少し周知が必要かもしれませんね」(同)

〝しちゃいけないもの〟という固まった考え

夫婦間のセックスに問題を抱えている女性も少なくないという。

「射精すると気持ちいい、セックスとは挿入して射精するものという意識が夫から抜けないため、『射精すると疲れるから』『セックスはしんどい』と夫側が拒否して、夫婦間でのセックスがなくなってしまっている人もいました。そこを改善するとなると、男性の射精がゴールという認識を変えるしかないですよね」(同)

また、現在の高齢女性では恋愛結婚ではない人も多く、夫婦関係も性別分業意識が高いため、「結婚とはこういうもの」「夫婦とはこういうもの」という結婚した当初の常識のまま生きている人もいるだろう。

「セックスを義務みたいにしているんです。だから、気持ちいいか、満たされているかというと当然そうではない。しかし『それが幸せだったんじゃないの?』という感じなんですよね」(同)

経済的に安定した生活のために結婚した場合、性生活へのウエイトが軽くなることは仕方ないのかもしれない。妻としての役割を果たし、母として充実した日々を過ごせているのなら、一人の女性としての幸せが満たされなくても構わない。そんな思いで生活を重ねる人は、今も珍しくはない。

「セックスが義務みたいになってしまうのは今の人たちも変わらない部分があると思います。好きな人と結婚しなくてはいけないと子供に教える一方で、風俗やAVのようなエロいことはダメと言う。子供からしてみたら、性教育も受けないまま成長し、社会人になったら『いつ子供を産むんだ。孫の顔が見たい』と言われる。

性について何も教えられず、情報も与えられてないのに突然放り出されて、無茶苦茶言われている状況ですよ。こういった部分をこれから変えていかなければならないのではないでしょうか。性教育として大事なことかと思います」(同)
 

実際に、女性用風俗を利用した50代の女性に話を聞いた。

「結婚・出産してから、会社と家の往復の毎日だったんですよね。特に不満もなかったのですが、上の子が小学校高学年に差し掛かる頃に、自分自身について構っていないことにふと気づいたんです。家と仕事と育児だけで自分のケアを忘れていたんですよね。

鏡を見たら、ヒゲが生えているような枯れ果てた状態で、ものすごい老け込んでいたんです。夫との営みはかろうじてあったのですが、濡れなくなってきていました。するのが面倒だし、濡れないから気持ちよくないし……そんな状況です。

それで、人生がこのまま終わってしまうのかなという危機感を覚えたんですよね。なんで私、こんなに老け込んでしまったんだろうって。それで思い返してみたら、私、夫と結婚したけど、心に残るような恋愛してないなって気づいたんです。

性に対する欲求も特別何かあったかといったらなかったし。育った家庭が性に対して厳しかったので、セックスに対して〝しちゃいけないもの〟という固まった考えもありました。だから、セックスについて知りたいって思ったんですよね。でも、一般男性とそういう関係を結ぶことには抵抗がありました。何かないかなと探したところ、サービスとして提供しているところがあったので利用してみようと思ったんです」

このようにして女性用風俗を利用する人は多いのではないかと感じさせられた。

女性もお金を払ってスッキリ遊ぶ時代

女性用風俗の中では、「萬天堂」と「東京秘密基地」が2大巨頭となっている。萬天堂は熟年のセラピストも在籍していたり、ホームページの説明文やデザインから、年配の女性も利用しやすいのではないかと見受けられる。萬天堂の会長である奥寺さんは次のように話す。

「ご利用される方もセラピストも当店では年齢制限を設けていません。実際、60代の男性セラピストもちらほらいますね。どのような女性にも気持ちよくなっていただきたいという思いから、幅広いセラピストが所属しています。女性も遊ぶ場所があっていいのではないかという思いから、女性用風俗に目を向けて2017年にオープンしました。

構想を練り始めたのはもっと前なのですが、状況が整ったのがその頃だったという感じですね。女性用風俗の立ち上げを考え始めた頃は、小さいお店がちらほらあったのですが、個人が趣味的にやっていたり、『無料にするからやらせてよ』というような変なことが起きてしまうところもあったりしたんですよね。

そんなことじゃダメだな、女性もお金を使ってスッキリと遊んだほうがいいんじゃないかなと感じていました」

萬天堂の料金はお試しの90分コースが1万5000円で、オススメの120分が1万9000円。時間で値段が決まるという非常にシンプルなシステムである。セラピストのランクによって指名料は異なってくるが、そのランクもセラピストのプロフィールページにきちんと掲載されている。

とりあえず体験してみたいのか、質のいいセラピストに対応してもらいたいのか、女性側が使い方を選べるというわけだ。


写真/shutterstock

ルポ 高齢者のセックス(扶桑社新書)

中山美里
2024/3/1
1,045円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4594096908

超高齢化社会に突入しつつある日本。さまざまなシニア向けサービスやコンテンツが盛り上がる中、性風俗や異性紹介など男女をめぐる業界も例外ではありません。

日本家族計画協会の調査(2020年)によると、「セックスしたいか」という質問に対する60代男性の答えは、「よく思う」「たまに思う」を合わせると70%を超えました。つまり、7割強が「セックスしたい」と答えているのです。健康寿命が年々、伸びていくなか、密かに性的な行為をしたいという男女が増えていることはたしかでしょう。

本書では、高齢者とセックスをテーマに当事者や関係者60人以上に取材し、そこに集う人々にスポットをあて、インタビューを交えたルポ形式で60-90代のシニアの性生活を描写していきます。

「60歳未満お断り」をキャッチコピーに掲げる風俗店、そこで働く60代の風俗嬢、また史上最高齢88歳のAV女優、シニアのチャットレディ、80代後半で全国のストリップ劇場を行脚する男性、高齢者同士のマッチングビジネスや出会い喫茶、70歳以上の男性との交際を謳う「ジジ活」、高齢者専用派遣型風俗などなど…盛りだくさん!

近年、高齢者の心身の健康やQOL向上には「セックス」が欠かせないということが徐々に世間でも認知されつつあります。本書に登場する高齢者も、異性と関わりを持つことで生活に張り合いができ、心身ともに若くいられると証言しています。老後の「性」が徐々にタブーではなくなりつつある今、急激に変化する高齢者とセックスの実情に鋭く迫ります。

第1章 長らくタブーだった高齢者の性生活
第2章 増える高齢者の「出会いの場」
第3章 社会との関わりの場としての高齢者向け風俗
第4章 QOL上昇のためのシニア向け性娯楽
第5章 高齢者の性欲と向き合う社会

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