4月から歌舞伎町ホストクラブは売掛禁止!のはずが…「立替」と名前を変えてツケ払いが横行、「未成年入店禁止」「親族に取り立てない」との自主ルールも罰則なしで形骸化
集英社オンライン / 2024年4月13日 20時0分
ホストクラブの沼にハマって多額の売掛金を背負わされる若い女性が後を絶たないことから、新宿・歌舞伎町のホストクラブ代表たちは今年4月から売掛を廃止するとしていた。そして、約束の4月。果たして歌舞伎町から売掛は本当になくなったのか。現役ホストや女性客に話を聞いた。
1000万円プレイヤーは激減
昨年12月、新宿区役所で吉住健一新宿区長と、歌舞伎町に存在する約300店舗のうち220店舗が加盟する13のホストグループ店の経営者たちが連絡会に参加。
度重なる悪質ホスト報道を受けたことから「今年4月までに売掛金による支払いの廃止」の方針を示した。それとともに、すでにある売掛金も行政などと連携して対応し、親族など第三者から取り立てないことや、今年1月からは20歳未満の新規客の入店を断るといった自主ルールをつくったことを明らかにしていた。
4月上旬、この連絡会に参加したグループ店の関係者は話す。
「売掛金はこれまでホストと客の信頼関係によってほぼ制限なく掛けられたものでしたが、連絡会で示された方針に則し、今年1月から段階的に売掛金の割合を減らし、4月からは全廃というかたちをとっています。
当店では売掛金の残額が残っているお客さまは現時点で0。昨今の客引きへの取り締まり強化を鑑みて外販(ホストクラブ専門のキャッチ)も使っておらず、昨年同期比で売上はかなり下がりました。どこのホストクラブも同じだと思います」
売掛はホストが強要しているイメージを持たれがちだが、「『“掛け”してくれないともう店に来れない』などと客に頼まれるから仕方なくのケースもあった」(某大手グループ店のホスト)ようで、それが店の売上に大きく貢献していた。そのため、あるホストクラブ代表は「1000万円プレイヤーが激減しました……」と肩を落とす。
4月になって歌舞伎町を訪れると、「売掛 辞めました」という看板がデカデカと掲げられていたりと、たしかに業界の意識の変化を見ることができる。
しかし、「いやいや! 4月になっても売掛は名前を変えて横行してます!」と話すのはホストクラブ歴3年のA子さん(28)だ。
罰則なしでは効力も低く…
「私の“推し”は連絡会にも参加した大手グループ傘下のお店に所属していますが、4月になってもシャンパン(の注文)を煽ってきますね。
私がいつもお店に現金5万円しか持ってこないことを知りながら、この間も『10万円のオリシャン(そのお店限定のオリジナルシャンパン)入れてよ。足りない分は俺が立て替えるからさ』と持ち掛けてきました。他の子からも同様の話を聞きますよ」(A子さん)
“立替”と“売掛”の違いは何なのか。
「売掛はお店に対してのツケ払いでしたが、立替はホスト本人が会計分を立て替えること。つまり、ホストと客の個人間での貸し借りになるんです。だから表向きは店の売掛青伝票はなくなっても、ツケ払い自体はなくなっていないんです」(同)
同じツケ払いでも、立替は売掛よりもタチの悪い面もあるそうだ。別のホストクラブに通うB子さん(20代)は言う。
「立替はいわば個人間の借金だから、ホストもお店を介さず直接、女性客に圧をかけたり暴言を吐いたりするんです。
それで売春をさせればホストも逮捕されますが、最近ではホストは女性客とやり取りする際に、自動メッセージ削除機能のある『Signal(シグナル)』を使ったりと、警戒を強めています」
ホストクラブの被害女性やその親族らを支援する一般社団法人「青母連(せいぼれん)」の玄秀盛代表理事(67)も売掛がなくなったことで別の問題が起こっていることを指摘する。
「ホストクラブの高額な会計をクレジットカードで支払い、結果、債務整理することになる女の子が増えている。先日も20歳そこそこでクレジットカードを10枚も持ち、それぞれでホストクラブで高額な支払いしてしまったと相談に来た女の子がいました」
また、昨年12月の連絡会で示された「売掛金を親族など第三者に取り立てないこと」「20歳未満の新規客の入店禁止」の自主ルールについても、「いまだに『19歳の娘が家出をしてホストクラブに通っている』『ホストから娘の売掛金の取立の連絡がきた』という相談がきている」(玄氏)という。
連絡会でホストクラブ代表らが表明した自主ルールは現状、破ったところで罰則はない。本格的な法整備が行なわれない限り、歌舞伎町が抱える問題の本質は変わらないのかもしれない。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班
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