〈那須・焼けた2遺体〉「マネキンが重なって燃えていると思ったら、肉を焼いたときに出る血が滲みでてきてニオイも…」第一発見者が語る残虐な遺棄現場。多数店舗を経営するやり手の被害者社長の身に何が…
集英社オンライン / 2024年4月17日 20時18分
栃木県那須町伊王野の山林の河川敷で4月16日朝、2人の遺体が焼かれた状態で見つかる事件があった。遺体はいずれも両手を結束バンドで縛られ、顔に粘着テープが巻かれており、栃木県警捜査1課は死体遺棄事件とみて那須塩原署に捜査本部を設置した。2人とも殺害された可能性が高いとみて捜査を進めている。
「黄色いビニール袋が被せられ、粘着テープがぐるぐると巻かれていた」
調べによると同日午前7時前に現場付近を車で通りかかった男性が、山間部で煙が出ているのに気づき、連絡を受けた森林組合職員の男性が同8時10分ごろ、駆け込んだ駐在所から「マネキンのようなものが燃えている」と同署に通報した。現場に急行した署員が確認したところ、遺体は両方とも全身が激しく燃えて火がくすぶったような状態になっており、近くに黒こげになった燃料用の携行缶が転がっていたという。
捜査本部は17日、遺体の1人の身元を本籍・東京都台東区で住所・職業不詳、宝島龍太郎さん(55)と発表、もう1人の身元確認を急ぐとともに、司法解剖で2人の詳しい死因を調べている。
現場は那須町中心部の JR東北本線黒田原駅から約11キロ南東に離れた山間部で、土手下約6メートルの河川敷。伊王野地区の集落からも5キロほど離れているため車通りもほとんどなく、周りは山や林に囲まれており、民家もポツポツとしか見当たらない。
第一発見者から知らせを受け、警察に通報した森林組合職員の30代男性が当時をこう振り返る。
「ここ数日、この付近で森林伐採をしていて、第一発見者は下請け業者の社長さんです。僕には『マネキンか人形かよくわからんモノが燃えてる。もしかしたら人間かもしれんから、一緒に確認してほしい』と連絡が入り、午前7時50分ごろに現場に駆けつけました」
このとき、2遺体はまだ燃えている最中だった。
「遺体は、十字になるように横たわっていて、炎が30cmほどメラメラと上がっていました。両方とも頭部にスーパーのレジ袋のような黄色いビニール袋が被せられ、その上から粘着テープがぐるぐると巻かれていました。どちらも黒い衣服を着て身長は160-170cmくらい。下に横たわっていた人は黒いブーツを履いていたので、一人は女性なのかなと思います。でも、ここら辺はめったに人も通らないし、もう少し奥に入ると行き止まりになってそれ以上進めない。ビニール袋が被せられて顔も確認できないので、てっきり不法投棄したマネキンでも焼いたんかなと思ったんです」
しかし、ニオイも含め、それは明らかにマネキン人形とは違うものだった。
「よく見てみると、燃えている胴体から肉を焼いたときに出てくるように血が滲み出ていた。ニオイもプラスチックが焼けたときのじゃなくて、肉が焼けているニオイだったんです。だから下請けの社長と『これもしかしたら人なんじゃない?』という話になって警察に通報して、とりあえず現場近くまで来てもらったんです。そのときも『マネキンが燃えてて』と伝えたあとに『肉が焼けるニオイもして...』と付け加えると、警察官の目の色が急に変わり、燃えている様子を見た瞬間に『これは人ですね』と断言していました。それから警察車両がどんどん来たといった感じです」
会社は「上野の九龍城」と呼ばれるビルのなかに
午前9時を回るころにはパトカーや捜査車両に加え、消防車や救急車が現場に列をなし、けたたましいサイレンの音に近所の住民も集まってきたという。
「この辺り一帯は、山間部ということもあり、夜になると極端に人通りが少なくなります。2年前には自殺者が出たと噂にもなりました。とはいえ、もし犯人が誰にも見つからずに死体を焼こうと思っていたのなら、ちょっとツメが甘すぎますよね。現場の奥にはまだ2軒ほど家があるし、本当に見つかりたくないのなら、わざわざ土手下の河川敷で焼こうとは思わないはず。土地勘がなくて焦っていたからなのかな、なんて思いましたね」
犯人がどういうつもりでこの現場を選び、むごたらしく火を放ったのかは不明だが、身元が確認された宝島さんは、東京・上野を中心に焼き肉店や居酒屋など約20店舗を経営する会社の代表取締役社長だ。本社事務所が入る上野駅前のマンションはかつて中国系のエステが多数入居し、一斉摘発が入ったこともある「上野の九龍城」とも呼ばれる、その筋では有名なビルだ。玄関前には今も「夜間の看板設置は禁止」「当マンションは民泊禁止」などの張り紙があるなどものものしい。
会社事務所にいた事務員という中年の女性は取材に対し、困惑気味にこう語った。
「全然わからないんです。今朝、知人に『(宝島さんと)同姓同名の方が事件に遭ったってニュースにでているよ』と言われて初めて知ったんです。えっ? えっ?て感じです。
社長はいつもここに出勤せず、週一回とか定期でも来ません。ずっと店を回っているので、毎日どこにいるかはわかりません。私も最後にあったのはだいぶ前。いつだったか。電話は先週にしましたけど…
奥さんとは連絡をしたこともないので面識もありません。社長は焼肉とかを中心とした店を経営していますけど、私は電話で連絡事項を受けるだけで、詳しくはわからないんですよ。従業員への給料計算なんかも全部社長がやっていました」
死因やもう1人の身元も含め、残忍な事件の中身はまだ概要すらもつかめていない。17日現在、警察は20代の男性から任意で事情を聴いているという、捜査本部の手腕が注目される。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
〈〈那須・焼けた2遺体〉「正直敵は多かった」「暗い道を通らないようにしていた」親族が語った被害者社長の生前トラブル「目をつけられたときもある」「あの街では有名だった」〉へ続く
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