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<高市氏、総裁選立候補へ>「前回の総裁選でのお礼がなかった」…党内基盤の弱さがネックも「立候補者が増えれば増えるほど高市に風が吹く」といわれる理由

集英社オンライン / 2024年8月25日 8時0分

9月に行なわれる自民党総裁選は、岸田文雄首相の不出馬を受けて数多くの議員が名乗りを上げる大乱立の状態となっている。その中でも、自民党を支持する保守層からの人気が高く、注目されているのが経済安全保障担当大臣の高市早苗氏だ。すでに立候補に必要な推薦人20人を確保したとの報道もあるが、一方で高市氏には党内基盤が弱いという懸念点もある。これまで後ろ盾となってきた安倍晋三元首相亡きあとも戦いを万全に進めることができるのか。

自民党支持層を対象とした世論調査で「次の自民党総裁にふさわしい人物」の2位は高市早苗、1位は…?

自民党の国会議員からは人気がない理由

8月21日夜、国会議事堂から徒歩10分ほどの距離に位置する赤坂の議員宿舎で、高市早苗氏は自らを支援する国会議員らに呼び掛けた。



「一緒に戦ってほしい」

総裁選をめぐっては、すでに若手中堅から小林鷹之氏が立候補を表明。他にも石破茂氏や河野太郎氏、林芳正氏、小泉進次郎氏が出馬を決めたと報じられているが、ついに高市氏も立候補への道筋をつけたようだ。

会合に参加した議員は「来週中に出馬に関する決意表明があるのではないか」と報道陣に明かした。

高市氏は自民党を支持する保守層からの人気が高い。それは情勢調査の数字にも表れている。

日経新聞とテレビ東京が岸田文雄首相の退陣表明を受けて21、22日に実施した緊急世論調査では、次の自民党総裁にふさわしい人物として、トップが進次郎氏23%、次点が石破氏18%、3位に高市氏11%が続いた。

ただ、これは支持政党に関係なく集計した結果だ。対象を自民党支持層に絞ると、トップは進次郎氏32%で変わらないが、次点は高市氏15%、3位が石破氏14%と、2位と3位が逆転した。

自民党支持層からの人気が可視化された形だが、一方で高市氏には「党内基盤が弱い」という弱点もある。実際、総裁選立候補に必要な国会議員の推薦人20人を集めるのに苦戦し、一時は出馬が危ういともみられていた。

なぜ、自民党支持者からの人気が高い高市氏が、党内での仲間集めに苦労するのか。その背景には、高市氏が抱える個人的な事情がある。

もともと高市氏は自民党の中でもタカ派の名門派閥、清和会に所属していた。

そこに転機が訪れたのが自民党野党時代の2011年。当時会長を務めていた町村信孝氏が翌年の総裁選へ立候補する意欲を示した。

高市氏は次の総理総裁としては安倍晋三氏を担ぐことを心に決めていたため、このまま清和会に残るのは「不義理になる」と考え、派閥を離脱。無派閥となり総裁選では安倍氏の推薦人となった。

ただ、このとき、清和会に残りながらも町村氏ではなく安倍氏を応援した議員は多数いた。

実際に、推薦人代表には下村博文氏がなり、ほかにも稲田朋美氏、柴山昌彦氏、礒崎陽輔氏、世耕弘成氏、西田昌司氏が清和会から名を連ねている。

自民党関係者は「派閥を抜けなくても安倍氏を応援することができたが、我の強い高市氏はわざわざ離脱する形を取った。それを『派閥の和を乱した』と否定的に捉えている清和会の議員は一定数おり、いまだに派閥と溝がある原因となっている」と語る。

議員票が総裁選のカギを握るが党内基盤が弱い高市氏

その後、安倍氏は政権交代によって総理大臣に返り咲き、高市氏を総務大臣などで起用。

保守系議員としてキャリアを積み重ね、2021年総裁選には安倍氏の支援のもとで初めて出馬したが、落選。今回は頼みの綱である安倍氏がすでに凶弾に倒れて亡くなっており、後ろ盾がいない中での苦しい戦いとなっている。

しかも、前回総裁選で高市氏の推薦人に名を連ねた小林鷹之氏が立候補を表明し、そこに若手中堅が流れるという逆風も発生。

また、議員の中には「前回の総裁選で高市氏を応援したが、お礼の連絡が一切なく、今回は応援しないことに決めた」と周囲に不満を打ち明けている者もおり、高市氏の組織づくりの弱さが露呈している。

高市氏自身も組織づくりには課題を感じており、それゆえに昨年から「『日本のチカラ』研究会」という勉強会を開催してきたが、マスコミに具体名が報じられる出席人数は20人に届かない状況が続き、推薦人が集められるか不安視されていた。

その中でも何とか推薦人確保に目途をつけた高市氏だが、党内基盤の弱さは課題として残っている。

自民党総裁選は国会議員が1人1票で合計367票を持つ一方、自民党員約109万人が投票する党員・党友票も同じ367票にまで圧縮されるため、国会議員の持つ票の重みが非常に大きく、選挙戦は議員の仲間をどれだけ集められるかという党内政局が勝負のカギとなってきた。

実際に、2021年総裁選では、発信力の高い河野太郎氏が党員票の獲得では1位となったが、岸田文雄氏が議員票で圧倒。

しかも、岸田氏と河野氏の上位2名による決選投票では議員票はそのままであるのに対して、党員票は都道府県連票(47票)に置き換わる。河野氏が都道府県連票で大半を占める39票を獲得したものの、岸田氏に議員票で逆転される結果となった。

立候補者乱立は高市氏に追い風? 

このような前例を見ると、組織づくりが苦手な高市氏は総裁選でも苦戦するとみられる。

ただ、今回は大乱立であるがゆえに、これまでの総裁選とは違う様相となることも想定されている。というのも、総裁選に立候補するためには推薦人20人が必要であるため、候補者が増えれば増えるほど、議員票の浮動票は少なくなる。

もし仮に10人が立候補したら、推薦人200人と候補者10人は固定票となるため、議員票は残る157票を争うことに。

その票も、各候補に分散していくことになるため、前回とは打って変わって、議員票の差を党員票によって逆転する可能性もあるわけだ。つまり、候補者が乱立すればするほど、自民党支持者からの人気が高い高市氏が有利ということになる。

もちろん、冒頭で紹介した世論調査では進次郎氏が知名度の影響もあってトップであるほか、若手中堅が擁立した小林氏がこれから選挙戦の中で注目されて支持を伸ばしていくかもしれない。

また、決選投票は前回と同じく党員票が都道府県連票に置き換わってしまうため、議員票も重要であることは言うまでもない。

ただ、大乱立や派閥解消の中で党員票の重みはこれまでの自民党総裁選とは比べものにならないほどに増しており、その結果は国会議員による党内政局でコントロールできない可能性も出てきている。

つまり、党内の権力闘争の構図よりも、党員からの印象を左右する論戦内容のほうが重要になるかもしれないのだ。

その中で、いったい誰が総理総裁の座を獲得するのか。高市氏をはじめ、各候補者がまさに政治家としての真価を問われることになる。

取材・文/宮原健太
集英社オンライン編集部ニュース班

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