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【男女ともパラ金メダルの快挙】小田凱人&上地結衣 強い日本の車いすテニスを育成の現場から支えるかんぽ生命の挑戦

集英社オンライン / 2024年9月8日 11時0分

男女ともに金メダルという快挙を成し遂げたパリパラリンピックの車いすテニス。パラスポーツを支援するパートナー企業の在り方は東京2020大会を契機に過渡期を迎えたと言われるが、2018年から一般社団法人日本車いすテニス協会のトップパートナーを務める「株式会社かんぽ生命保険」は息の長いサポートを継続している。近年では次世代を担うジュニア選手も全面的に支援し、その成果が実っている。ダイバーシティ推進の観点から見出すパラスポーツの価値について聞いた。

【写真】KAMPO JUNIOR OPEN

車いすテニス支援のきっかけと理由

車いすテニスはパラスポーツの中でも知名度の高い競技だ。道を切り拓き、人気に火を点けたのは2023年1月に現役を引退した国枝慎吾さん。東京2020大会を含むパラリンピックで4つの金メダル(シングルス3個、ダブルス1個)を獲得し、グランドスラム(世界四大大会)とパラリンピックを制す「生涯ゴールデンスラム」を達成。国民栄誉賞も授与されたテニス界のレジェンドである。

その国枝さんに憧れ競技を始めたのが、18歳にしてグランドスラム4度優勝の小田凱人。国枝さんも実力を認める超新星は8月28日に開幕したパリパラリンピックで初めてパラリンピックのコートに立つ。

女子でもパラリンピックのシングルスで金銀2つのメダルを持つ上地結衣ら、日本の車いすテニス界はスター選手ぞろいだ。

そんな車いすテニスに株式会社かんぽ生命保険(以下、かんぽ生命)が支援を始めたのは2018年のこと。サステナビリティ推進部部長の浅倉哲也さんは経緯をこう話す。

「私どもは『お客さまの人生を保険の力でお守りする』という社会的使命を果たすため、『いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい』という経営理念を掲げています。

それはSDGs(持続可能な開発目標)の基本的な考え方である「誰一人取り残さない」という、そのものずばり。特に『すべての人生を』という点において、個々の違いを受け入れ、認め合い、生かしていくダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とパラスポーツに重なるところがあると考えました。そんな時、日本車いすテニス協会(JWTA)さんとの出会いに恵まれ、パートナー企業としてお手伝いを始めることになったのです」

競技団体と課題を共有し共に解決へ向かう

かんぽ生命の車いすテニス支援は資金面にとどまらず、競技団体との連携で課題を共有し解決に乗り出している点に特長がある。

近年、力を入れているジュニア世代の選手支援は最たるもので、浅倉さんのもとで事業を推し進めるサステナビリティ推進部課長代理の佐々木晴香さんは「トップパートナーになって5年経った2023年に、改めてどんな支援ができるかをJWTAさんと相談し、ジュニア選手の育成と強化に課題があるとお聞きしました」と発端を振り返る。

国枝や小田、上地らに続く国際競争力の高い選手をいかに継続して輩出するか。本来、選手の育成・強化は競技団体の役割ではあるが、海外遠征や合宿などにかかる活動資金は潤沢とは言えないためパートナー企業のサポートが必須である。JWTAとかんぽ生命が考えた打開策の手始めが、日本国内で国際テニス連盟(ITF)の公認大会を開くことだった。

「私たちがトップパートナーとなった2018年から『かんぽ生命カップ』という大会を開催していて、ワールドチームカップ(世界国別対抗戦・団体戦)のジュニア代表選考会を兼ねていました。

2019年大会では当時13歳だった小田選手が優勝し、「2021BNPパリバ・ワールドチームカップ」に出場して初めて世界一になったりもしましたが、中にはITF世界ランキングポイントが足りず、ワールドチームカップの代表になっても出場できない年もありました。

これをどうにかしようとJWTAさんがITFに熱心に働きかけ、世界ランキングポイントを獲得できるITF公認大会として『KAMPO JUNIOR OPEN』(18歳以下対象)を新設し、2023年8月に福岡県飯塚市で第1回大会の開催にこぎつけました」(佐々木さん)

国際競技団体の公認を得るのは容易ではない。しかし、現状を変えたい一心で両者は共に汗をかき、強力なタッグで困難を可能にした。

ジュニア選手の自立と多様な経験を促すプロジェクト

ジュニア選手に海外経験を積んでもらうことを目的に「次世代特別強化支援プロジェクト」も立ち上げた。KAMPO JUNIOR OPENの結果も踏まえて、選手を国際大会に派遣する新たな取り組みだ。

「同行するのはナショナルチームのコーチのみで親御さんは付き添いません。車いすユーザーの我が子を心配する声もあったようですが、選手の自立を促すというJWTAさんの趣旨に私たちも賛同しました」(佐々木さん)

多感な時期の子どもたちの海外派遣には他の国や地域の選手たちとの交流を通じ、多様な文化や言語、マナーを学べるメリットもある。「次世代特別強化支援プロジェクトは心技体すべてで世界に通じるアスリートの育成を目的にしています」と佐々木さん。

ちなみに2023年と2024年大会を連覇した16歳の橘龍平は、本プロジェクトを通じて2023年12月にトルコで開かれたITF公認大会に出場。2024年5月、ジュニア代表チームの一員として出場した「2024BNPパリバ・ワールドチームカップ」トルコ大会では銅メダルに輝いた。

さらにKAMPO JUNIOR OPENで2度目の優勝を果たした今年7月、世界ジュニアランキングを12位から10位に上げて世界のトップ10圏内に入った。

「小田選手のようなトップ選手が世界で活躍する姿を見て、それに続こうと頑張る若い選手たちが自分たちもそのレベルまで行けるんじゃないかと希望を持ってくれる。それが非常に嬉しいですし、日本全体のレベルも上がっていると思います」と目を細めるサステナビリティ推進部部長の浅倉さん。

その表情には単なるスポンサーの枠を越えたアスリート愛がにじみ出ている。

写真/越智貴雄[カンパラプレス]・ 文/高樹ミナ

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