〈強盗に侵入されたときの正解〉騒がず、動かず、逆らわず、もっとも効果的なのは…防犯アナリストが教える命の守り方
集英社オンライン / 2024年10月24日 16時0分
相次ぐ一連の強盗事件…東京・狛江市で90歳の女性が死亡した事件など6つの事件で起訴された実行役の男に対し、検察側は、東京地裁立川支部で開かれた24日の裁判で、被告に対し無期懲役を求刑した。これまでの事件では、未明に被害者宅の窓を破壊したり、宅配便業者を装って侵入するといった手口が明らかになっているが、もしも家の中で強盗と鉢合わせしたとき、どう対処すればいいのか? 防犯アナリストの桜井礼子さんに聞いた。
外で大きな音がするかどうかがポイント
──全国で相次いでいる一連の広域強盗事件の山口県・岩国市の場合では、カッターで脅され、結束バンドで縛られそうになりましたが、被害者が日本刀を手に取ったことで、犯人らは慌てて逃走したそうです。強盗団に家に侵入されたときに役立つ防犯アイテムはありますか? アクション映画なんかで見るようなスタンガンは?
スタンガンなどこの手の道具は、使うにはある程度訓練が必要です。慣れている人じゃないと使いこなすのが難しい。逆に犯罪者の手に渡ってしまった時は、武器として使われる懸念もあります。
催涙スプレーはありかと思うのですが、ただすぐに逃げることができる状況下においてのみです。逃げきれなかったら、自分も涙がボロボロ、むせてゴホンゴホンと咳込んでしまい、動けなくなるかもしれません。成分が軽いものから、クマが倒れるくらいのものまでありますので、外で使うのはいいですけど、家の中では注意が必要です。
──強盗の侵入時に、防犯ブザーを鳴らすというのはどうですか?
ポータブルな防犯ブザーだと意味はないです。家の中で鳴らしたところで、外には聞こえませんので、助けを呼ぶことにはなりません。強盗に「何やっているんだ!」と逆上されるだけ。警報音は、外で大きな音がするかどうかがポイントです。
いま、すごくいいものがあって、「緊急非常警報装置」と言います。
火災報知器みたいに、ボタンを押すと、外で非常に大きな音が鳴るシステムで、その「非常押しボタン」はワイヤレスになっていて、ネックレスタイプだったり、腕時計タイプだったり、肌身離さず携帯することが可能です。
ボタンを押すと、通りに向かって設置されている警報機が「キャンキャンキャーン」とか「ジリリーーーーーン」とすさまじい音を鳴らし、ライトが激しくパッパッパッと点滅します。
犯罪者は警報音をすごく嫌いますから、こういったセキュリティーシステムを備えておくのが策の1つです。高齢のご夫婦だとか、ひとり暮らしの場合は、そういうものを活用してもいいかなと思います。
強盗には抵抗するな
──強盗の侵入にびっくりしてしまい、身体が動かなくなってしまったら、どうしたらいいでしょうか?
そのままで構いません。基本的には、強盗に抵抗するなんてとんでもないことですから。
そして、もし身柄を拘束されてしまった場合は、逆らわずに強盗団の言う通りに動いてください。大事なのは命であることは言うまでもありません。
もしも「私はお金を取られたくない」という気持ちから、大声を出したり、暴れたりすると暴力を振るわれ、最悪の場合、命を取られてしまうっていうことになりますので。
──最近の一連の広域強盗事件では、宅配便を装い侵入したということも聞きますが……
「宅配です」って言われたら、「あらっ、ご苦労様です」と玄関を開けがちですが、扉はドアガードやドアチェーンを活用して扉を開けてください。全開したら侵入されてしまいます。絶対に全開しないでください。
できれば、インターフォンだけでやり取りを完結していただきたいんです。宅配業者に、配送物の内容や、送り主・受取人の名前や電話番号を確認し、間違えがなければ「玄関のところに置いといていただけますか」とか「宅配ボックスに入れておいてください」とお願いしてください。
さらにできることなら、玄関先からインターフォンの周り全体が映るように防犯カメラを 1台設置しておくと、何人いるのか確認しやすくなります。もしも大勢いたら、受け取り拒否し、110番に電話をかけるくらいのことをしてもいいと思います。
──宅配便を装う以外では、未明に窓ガラスを破壊して侵入するケースもありました……
コストがかかりますが、窓ガラスを防犯ガラスにすることが一番です。ガラスとガラスの間に入っている特殊フィルムが厚ければ厚いほど、防犯効果は高くなります。
それが難しい場合は、業者さんに頼んで、窓ガラスの全面に防犯フィルム貼ってもらってください。防犯フィルムは「CPマーク」の付いたものをお勧めします。攻撃に耐えうるテストがありまして、そのテストに合格したものに「CPマーク」がつきます。
また窓の内側から、サッシ枠の上部に鍵付きの補助錠をつけるのも効果的ですので、ぜひチェックしてみてください。
桜井礼子/一般社団法人 日本防犯学校副学長 防犯アナリスト
『日本初の女性防犯アナリスト』として防犯界の第一人者、予知防犯提唱者の梅本正行氏に13年間師事し、事件現場の検証と取材に携わる。女性・母親・高齢者の親を持つ立場で皆様と同じ目線に立ち、自分自身で出来る防犯対策を始め、子供と高齢者・女性を守る防犯対策を分かりやすく解説。子育て経験がある目線で、弱者を犯罪被害から守る予知防犯を提唱する活動を展開している。なお、一般社団法人 日本防犯学校(https://j-ss.org/)では、昨今の凄惨な事件をうけて、自宅の防犯診断及びその防犯対策のアドバイスを行っている。
※本記事は2023年2月26日に公開した内容に加筆・修正をしたものです
取材・文/集英社オンライン編集部
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