完全招待制の「mixi2」リリース、一体どんなSNS? そして今までの「mixi」はなくなってしまうの? 公式の回答は…
集英社オンライン / 2024年12月18日 17時44分
株式会社MIXIは新たな国産SNS「mixi2」をリリースした。当初のmixiのように完全招待制で、コミュニティを通じたやり取りができる仕様だ。一方で旧サービスとの互換性はない。フォロー、リポストなど、Xを意識したような機能もあり、使い勝手は全体的に旧サービスとは大きく異なる。今年は「mixi」の20周年にあたるが、同社は何故mixi2をリリースしたのだろうか。そして、従来からあるおなじみの「mixi」は廃止されるのだろうか。MIXIにリリースの狙いと「mixi」の今後についてきいてみた。
従来からある「mixi」と同じ「コミュニティ」機能
MIXIは12月16日、アップルのiOSとグーグルのアンドロイド向けに「mixi2」をリリースした。
現段階では完全招待制で、他ユーザーからの招待が無ければ登録することはできない。ちなみに従来からある「mixi」も2004年のリリースから2010年までは招待制を採用していた。他ユーザーに招待してもらい、さっそく筆者も「mixi2」を使ってみた。
「mixi」と同様、趣味や個人の興味ごとに分かれている「コミュニティ」に参加し、コミュニティ内で他のユーザーとやり取りする仕様となっている。コミュニティは誰でも作ることができ、承認制にすることも可能だ。コミュニティ内では他ユーザーの投稿を見るだけでなく、イベントを作成することもできる。
MIXI広報はこう説明する。
「コミュニティ内ではオンライン・オフラインのイベントを手軽に作成できます。『一緒にキャンプに行く』『同じスポーツ中継を見る』といったイベントへの参加を呼びかけられます」(MIXI広報)
また、「mixi」の「マイミク」と同じく、「フォロー」することで個人の投稿を見ることができる。相違点として、マイミクに登録するには申請された人の承認が必要だが、「mixi2」のフォローでは、Xと同じく基本的に承認は不要である。
Xと同様の「いいね」「リポスト」
「mixi2」で特徴的な機能は「ホームタイムライン」である。自身が参加したコミュニティ内の投稿や、フォローしたユーザー個人の投稿をホームタイムラインで見ることができる。
「ホームタイムラインではフォローした他ユーザーの投稿や参加したコミュニティの情報が集約して表示されます。競合サービスと異なり、レコメンドではなくユーザー自身が構築したフォロータイムラインをデフォルトにしている点が特徴です」(同)
そしてXと同じく、他者の投稿に「いいね」や「コメント」をつけたり、「リポスト」したりすることが可能である。「mixi」にも「イイネ!」機能はあるが、リポストすることはできない。「Xを意識して開発したのか」聞いてみると、次の回答を得た。
「『mixi2』は2022年末から構想を開始し、2023年にチームを結成して開発を始めました。いいね、リポスト機能を付けたのは、『mixi2』で行われるであろう多様なコミュケーションに対応するために付けています」(同)
昨年7月にMetaがリリースしたSNS「Threads」にもリポスト機能はついている。旧Twitterはリツイート機能で世界的なSNSになったこともあり、ユーザー獲得には、やはりリポスト機能が欠かせないようだ。
また、Xと同じく「mixi2」では短文テキストが基本である。最大の投稿文字数はXの140に対し、mixi2は149.3文字と最初に表示される。ただし実際に入力できるのは150文字までだ。149.3は逆から「ミクシィ」と読めると憶測を呼んでいる。短文にした理由について「身近な話題で盛り上がれるSNSを目指すため」としている。
その他、「mixi2」独特の機能として「エモテキ」「リアクション」などの機能がある。エモテキはエモーショナルテキストの略で、投稿した文字を大きく表示させる機能だ。リアクションは最近のLINEにあるように、投稿に対して感情で反応できる機能である。
フォローしていない人の投稿が出てこないタイムライン
冒頭の通り、今年は「mixi」のリリースから20年にあたる。なぜこうしたSNSを改めて開発するに至ったのだろうか。開発目的を聞いてみた。
「近年のSNSはレコメンドアルゴリズムによる情報選別で、心理的に不安になるユーザーも多いと認識しております。不安の背景にはプライバシー保護に関する問題も含まれるでしょう。既存のSNSに対する不安が高まる中、20年の運営経験を活かし、レコメンドではなくユーザー視点にたったSNSの開発を検討した次第です」(同)
Xのタイムラインでは「おすすめ」が標準となっており、自身のフォローした相手の投稿だけを見るには「フォロー中」のタイムラインに進む必要がある。
政治、社会問題とSNSの関係性が昨今、問題視されているが、レコメンド機能が個人の思想を増強させるほか、炎上・拡散の要因にもなっている。
少なくともコミュニティ内で政治的な内容や過激な内容の投稿がされる可能性は低く、既存のSNSに辟易したユーザーにとって「mixi2」は居心地の良い場所になるかもしれない。
とはいえ「mixi2」の「発見」タイムラインもあり、ここでは恐らくレコメンドに基づいた投稿が表示されるようになっている。
従来からある「mixi」はどうなる?
現段階で誰もが新規登録できるわけではなく、「mixi2」のユーザーから招待を受ける必要がある。完全招待制とした目的についてMIXIは、「利用開始時から身近な友人・知人との繋がり交流を楽しむことを企図しているため」としている。
「mixi」こそ当初は招待制をとっていた。人と人のつながりを強く感じられるようにするためと当時は公表している。招待制をとることでユーザーの帰属意識を高める狙いがあったのかもしれない。
しかし2010年以降、招待制を廃止したことで「業者が入ってくるようになった」「信頼感が失われた」という批判を受け、海外SNSの台頭もあって「mixi」の存在感は低下してしまった。
MIXIの主力事業は現在、スマホゲーム「モンスターストライク」が中心のエンターテインメント事業だ。「mixi2」を完全招待制とすることで、「mixi」当初の良さを取り戻す狙いがあるのだろう。新SNSをリリースした今後、「mixi」はどうなるのだろうか。
「mixi2とmixiは別々のサービスです。コンセプトも異なり、互換性もありません。それぞれの良さもあるため、今後も並行して運用するつもりです。「mixi」がサービスを終了する予定はございません」(同)
従来からある「mixi」のユーザー数は実質200万人程度と言われており、他SNSより少ないとはいえ一定の規模を有する。「mixi」事業を擁するライフスタイル事業の売上高は134億円だ(2024年3月期)。
「mixi2」は既存SNSと「mixi」当初の良さを掛け合わせたような機能を持つ。新しい国産SNSがモンストに代わるMIXIの主力事業となるのか、今後に目が離せない。
取材・文/山口 伸
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