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〈年末年始の休暇トラブル〉アルバイト“休むなら代わりを探して”は違法…代わりが見つからないときの対処法

集英社オンライン / 2024年12月27日 11時0分

「奇跡の9連休」と呼ばれるほど、休日の並びがいいこの年末年始だが、“バイトを休みたいなら代わりを探せ”と代替要員を探すよう店側から強要されて困惑するバイト学生も多いようだ。年末年始にありがちなバイトトラブルについて、東京法律事務所の笹山尚人弁護士に話を聞いた。

【画像】「代わりを探す」が暗黙のルールになっている職場もあるようだ

“休むなら代わりを探して”は違法?

流行性ウイルスも蔓延しやすい年末年始。この時期は、寒さも厳しく体調不良で突然アルバイトを休まざるを得ないこともあるだろう。

学生は特に、帰省のため年末年始のバイトの希望シフトを提出しなかったり、有給休暇を申請しようと考えたりする人も多い。

そんなとき、店側からよく聞かれるのが「休むなら代わりを探して」というセリフ。

実際に言われた経験がある人も多く、休みの申請時に「代わりを探す」という暗黙のルールが当たり前になっている職場もあるようだ。

しかし、このように代替要員をバイトスタッフに強要する行為は違法とされていると笹山氏は語る。

「違法には大きく分けて二つのケースがあります。一つは、法律に直接違反している場合。そしてもう一つが、契約に含まれない内容を強要する場合です。

今回の“休むなら代わりを探して”という要求は後者に該当し、契約上の義務に含まれていないため、違法とみなされます。

雇用主と従業員の間で結ばれる契約は職場によって異なりますが、一般的に、休む際に代替要員を探すことを労働者に義務づける契約はほぼ存在しません。

たとえ職場の慣習であっても、それが契約書に明記されていない内容を、従業員に強要することは許されません」(笹山氏、以下同)

代替要員をバイトスタッフに強要することが、契約上の義務に該当しないのはなぜだろうか。

「労働契約とは、あくまでも約束した労働日、労働時間、求められる仕事の内容を遂行することが従業員側の本質的な義務。

やむを得ない事情で働けなくなった場合に、同等のスキルを持つ労働者を探すことを従業員に求めるのは難しいとされています。

そのため“代わりを探す”という行為そのものが、契約上の義務外の要求であり違法性が問われるのです」

「きっぱり断る」が現実的には厳しい

「契約上の義務ではないので代替要員を探しません」と企業側に伝えるのが、法的には正しい対応とのことだが、現実的にはそのような伝え方をすれば雇用主との関係が悪化し、シフトを減らされたり、最悪の場合は解雇されたりするリスクが伴う。

では、現実的にどのように対処すればいいのだろうか。

「現状、従業員側は雇用主からの圧力を受けやすい立場に置かれています。一人で抗議しても、根本的な解決にはつながりにくいのが実情です。

労働組合を結成して企業側に交渉するのが法制度上の基本的な解決策ですが、これも現実にはハードルが高い場合が多い。

そのため、日常的にバイトスタッフ同士で助け合えるネットワークを築いておくことが、予防策として非常に重要だといえます。

日本で働く外国人アルバイトの方々の場合は、同国人同士のネットワークを活用する例が多く見られます。

このネットワークを通じてスタッフ同士で助け合ったり、必要に応じて『それは私たちの仕事ではありません』とバイトスタッフが一丸となって拒否したりすることも珍しくありません」

たしかに、スタッフ間での連携があれば個人で声を上げるよりも強い力を発揮することができるかもしれない。

「さらに、労働契約の内容を事前にしっかりと把握しておくことがとても重要です。契約書や労働条件を通知する書面には、休日の扱いについても明記されているはずです。

年末年始休暇は特別休暇として取り扱われるのか、それとも固定シフト制のため通常のシフト通りに働かなければならないのかを確認しておく必要があります。

いくらスタッフ同士で連携を取っても、契約内容を理解していなければ不利な状況に陥ってしまう可能性があります。年末年始などの繁忙期に備え、事前に契約内容を確認し、トラブルを未然に防ぐことが重要です」

年末年始はバイトトラブルが多発!

年末年始の時期は、スタッフを確保するために特別手当を支給したり、賃金を上げたりする企業も少なくない。しかし、その一方でトラブルが発生することも多いようだ。

「例えば、特別手当があると事前に聞いていたのに、実際には通常通りの賃金しか支給されなかったり、急に欠勤者が出てその穴を埋めるために当日になってシフトを延長するよう頼まれたりするケースがあります。

こうした状況は、特に年末年始に多く見受けられるトラブルの典型例でしょう。

さらに、人手不足やお客さんの混雑が原因で店舗内での器物損壊やクレームにつながるミスが増えることも多くなると聞きます。

このような場合、損害賠償請求されるのではと気になる人も多いかもしれませんが、『故意』の場合、著しい注意欠如に該当する『重過失』の場合でない限り、真面目に誠実に働いていたスタッフが損害賠償を負うことはありません。

つまり、通常の業務の範囲内で発生したミスについては責任を問われることはないでしょう」

人手不足が深刻な状況では、短期や単発で働ける「スキマバイト」の利用が増えることが予想される。その手軽さが大きなメリットである一方で、さまざまなトラブルが発生しやすい側面もある。

「スキマバイトは、雇用主とトラブルが発生してもその場限りの雇用関係であるため、後腐れなく、明確に自分の要求を伝えやすいと考えられます。

バイトトラブル全般的に言えることですが、もし不当な待遇を受けた場合には専門家に相談することも選択肢にいれてくださいね。

その場合、特にハラスメント問題などでは、相手の発言や対応が抽象的に語られることが多いため、その状況について具体的に詳細を伝えられる準備をしておくことが重要です」

取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio) 写真/Shutterstock

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