再評価される芸人・鳥居みゆき「変わったのは世間の目、私は何も変わっていない」児童発達支援士の資格を取得し、番組では子どもたちをサポート
集英社オンライン / 2025年1月2日 17時0分
「バラエティ番組やYouTubeで見せる言動が、以前に比べて優しくなっていませんか?」かつて”孤高の芸人”と呼ばれた鳥居みゆきに尋ねると、こう返ってきた。「私はやってることも思想もぜんぜん変わってないですよ。勝手に周りと世間が変わっていっただけだと思います」変わったのは本当に世間なのだろうか?
「病院に行け!」みたいな扱いが多かった
「私はやってることも思想もぜんぜん変わってないですよ。なんていうんですか、多様性? とかで、勝手に周りと世間が変わっていっただけだと思います」
「バラエティ番組やYouTubeで見せる言動が、以前に比べて優しくなっていませんか?」
その質問に対して、鳥居みゆきはこう答えた。「変わったのは私ではなく、アナタたちを含めた世間なのでは?」
2000年代後半、ダボダボの白パジャマにテディベアのぬいぐるみを抱えたキャラ「まさこ」が、マラカスを持って大暴れするネタ「ヒットエンドラン」で一躍ブレイクを果たした鳥居。
だが、そのエキセントリックなイメージが先行し、本人の資質以上にトリッキーな存在というレッテルを貼られてしまったのは事実だ。そうした偏見に近い扱いが時代とともに薄れていき、世間からもひとりの芸人として受け入れてもらえるようになった、と本人は語る。
「人気が出たころは、私が考えてしゃべっていたものも“鳥居、やっぱ変だ”ってバッサリ切られて、マトモに受け取ってもらえなかったんです。ちゃんとゴールを設定して話しているのに、入口が特殊だとすぐにシャッターを下ろされてしまう。
例えばイギリス料理のことを、“イングランド料理とかアイリッシュ料理とか…”と言ったとして、“全部イギリス料理じゃねぇか!”とツッコまれるのを期待しているのに、“はいはい、あとで甘いお菓子あげようね~”って流されていましたから。事務所の先輩である竹山さんなんて特にひどいですけど(笑)、たいていの先輩方は“あとで病院行け!”みたいな返ししかなかった」
「児童発達支援士」「発達障害コミュニケーションサポーター」の資格を取得
近年では彼女を色眼鏡で見ず、その考えを尊重する現場が増えているという。
バラエティ番組『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系列)で見せた巧みなトークは共感と笑いを呼び、それがネットニュースとしても取り上げられた。
また、発達障害を抱える子どもたちをサポートするNHK Eテレ『でこぼこポン!』での活躍、そして、番組をきっかけに「児童発達支援士」、「発達障害コミュニケーションサポーター」の資格を取得したというエピソードも、彼女の人間としての豊かさや向上心を世間に伝えたと言える。
「くりぃむしちゅーの上田さんからも、昔は“こいつ呼んだの誰?”で終わらせられてたのが、今はちゃんと内容を聞いてツッコんでくれるようになりました。
ちなみに児童発達支援士の話をするときには本当にみなさん、真面目に耳を傾けてくださる。それはそれでボケることができないんですけど(笑)。“面白いな、楽しいな”って思える現場が多くなりましたね」
芸人・タレントとしてようやく居心地のいい場所を見つけつつある鳥居だが、昔から唯一、話を聞いてくれた司会者として、意外な名前を挙げた。
「出会った当初から私の話をきちんと聞いた上でツッコんでくれていたのは、千原ジュニアさんです。“鳥居は、ちゃんと考えてるもんな”と会うたびに言ってくださって、本当に上司の見本みたいな存在。尊敬していますね。
私、争うのが大嫌いなのに『座王』(『千原ジュニアの座王』。椅子取りゲームとショートネタバトルがミックスされたバラエティ)のオファーを受けたのも、ジュニアさんが司会でいてくれるという安心感があるから。審査員にどんな審査をされようと、引っ張ってもらえると信じているんです。
『座王』がなんで椅子を奪い合うかはよくわかってないんですけどね。ジュニアさんは椅子に親でも殺されたんでしょうか?」
いまの子どもたちに笑ってもらえるのが嬉しい
鳥居みゆきの本領は、単独公演のひとりコントに代表される、“鳥居ワールド”とも言えるオリジナルな世界観。生と死をテーマに、自身の内面をどこまでも探求するような作風で根強いファンを持つわけだが、それはコントという形だけでなく、演劇の脚本や小説、絵本といった、様々なメディアで表現されてきた。
そんな彼女が、現在探求しているもの、それが他人とのコミュニケーションである。
「これまでは周りから拒絶されるし、じゃあひとりで楽しもうと思ってやってきたんですけど、ようやく自分の探究心が他人に向かうようになって、会話を楽しめるようになりました」
コミュニケーションに積極的になったのは、仕事の現場だけではない。13年連れ添ったのちに別れを選んだ元夫とは、離婚モードになった瞬間から予期しない前向きな変化が生じた。
「結婚していたときは、ふたりで住んでいるけどそれぞれが自分のテリトリーで、独立した生活をしていました。私も彼も、人として変われなかったんです。“これじゃ友だちと一緒だし、さらに仲が悪くなるくらいなら別れよう”と離婚の方向に進みました。
でも、それから落ち着いて話してみると、その時間が楽しいことに気づいたんです。楽し過ぎて、離婚届を出すのにも3回くらい失敗しました。役所に行く途中で見つけた物産展で買い物している間に届を出し忘れるとか(笑)。今も仲が良くて、離婚記念日には毎年、一緒にご飯を食べに行きます。だから、結婚していた時期だけが仲が悪かった」
芸人としての思想も、やっていることも変わっていないと断言する鳥居。
だが、彼女が人生経験を積み、他人とのコミュニケーションに前向きになったこと、そしてそれが時代の変化と重なって周囲から受け入れられはじめたことは、孤高の芸人であり続けた彼女の「受け皿」が、自然と広がった現状に繋がっている。
「こないだ営業で“ヒットエンドラン”のネタをやったんです。そうしたら、私のことを知らないだろう子どもたちが笑ってくれてました。それが嬉しかったですね。今年ですか? 何も変わらないと思いますけど、干支にちなんで“猪突猛進”で頑張ります!」
取材・文/森樹
写真/松木宏祐
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