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「懐かしい」と感じることで幸せホルモンが分泌…認知症のリハビリにもなる「回想法」とは? 年末年始は帰省先でぜひ老親と昔話を

集英社オンライン / 2024年12月30日 11時30分

トイレの汚れは、親の老いを知るバロメーター 年末年始に帰省したら実家でやりたい小さな恩返し3選〉から続く

慌ただしい年末年始、帰省だけでもひと苦労なのに、さらに親と子どもを連れて外出まではとても追いつかないかもしれない。そんなときは親とじっくり昔話をしてみてはどうだろう? 「懐かしい」という感情は、ドーパミンという脳内ホルモンを分泌させ心地よさをもたらすからだ。

【画像】親の結婚当時の話を聞いてあげるのもいい方法

書籍『親への小さな恩返し100リスト』より一部を抜粋・再構成し、年末年始親にしてあげたい小さな恩返しを紹介する。

「懐かしい」という感情はドーパミンが分泌させる

若かった頃や仕事や子育てに夢中だった頃など、昔のことを思い出して懐かしさを感じると、人は幸福感を覚えたり、温かい気持ちになるものです。「懐かしい」という感情は、ドーパミンという脳内ホルモンを分泌させ、心地よさをもたらします。

もともと、認知症のリハビリの一つに「回想法」があります。昔の写真を見たり、お気に入りの音楽を聴いたりしながら当時の経験や思い出を語り合うと、脳の前頭葉が活性化する、と立証されています。

介護の現場でも、それは実感します。認知症になって最近のことは記憶になくても、昔のことはよく覚えているのです。たとえば、美空ひばりのヒット曲を流すと、口ずさみ、「昔、新宿コマ劇場のリサイタルに行ったわ」と、関連する記憶が次々と呼び覚まされて、表情も穏やかに。

その変化は驚くほどです。そういう姿を見ると、思い出は宝物であり、共有できる相手がいることは幸せだと思わずにいられません。

頭がしっかりしていて、まだ元気な親に対しても、回想法はもちろん有効。子の世代にとっても、この効果は同じ。ですので、親と一緒に思い出を振り返ることは、恩返しをしつつ自分も温かい気持ちになれるわけです。

たとえば、親と一緒に、自分が幼少期の頃のアルバムを見ると懐かしさで胸がいっぱいになるでしょう。「七五三のとき、エミちゃんったら、着物の帯が苦しいとグズって、大変だったのよ」「あー、だから私、こんな不機嫌な顔で写っているのね」などと笑いながら会話も弾むでしょう。

昔の映画を一緒に見るのもおすすめです。親が好きだった映画のDVDを借りてくる。また、インターネットで視聴できるNHKのアーカイブスは過去の映像の宝庫。

1950年代から90年代ぐらいのドラマやニュースなどのダイジェスト映像を見て、親と一緒にタイムスリップし、当時の思い出を聞いてあげてください。

その一方で、これから親子で新たな思い出を作っていくことも、恩返しです。

今日という日は、親にとっても子どもにとっても一番“若い”日。親が衰えると、できなくなることが増えます。「元気なときに、おいしいものを食べさせてあげたかった」「一緒に旅行に行きたかった」と後悔を口にする人を、私はたくさん見てきました。

そして亡くなったら、もう親とおしゃべりすることも、「大好き」「ありがとう」という愛情表現や感謝の言葉を伝えることもできません。

時間は有限。できるだけ親が元気なうちに、のちのち思い出になるようなイベントや楽しみの場を設けて、親子の幸福な時間を増やしましょう。

いい写真はプリントして渡す

デジタルが普及してから、写真はスマホやパソコンで見るものになってしまいました。しかし、親は、紙焼き写真になじんでいる世代。スマホなどに保存された写真は、整理の仕方がよくわからず、その場でさっと見るだけ、という人も多いよう。

ですので、親がきれいに写っていたり、家族や友人と楽しそうにしているショットは、プリントして渡してあげましょう。手元にあればいつでも見られて、そのときのことを振り返ることができます。

一緒に写真の整理をし、アルバム作りも手伝ってあげるといいでしょう。

よく結婚披露宴や葬儀で、その人の人生アルバムをスライドで見せますが、あんな感じで、親の人生の軌跡がわかるように、一冊のフォトブックにまとめるのも一案。誕生日などの折にプレゼントするのもいいでしょう。

縁起が悪いと思われるかもしれませんが、遺影の準備も。特に女性は「きれいな写真を遺影に」という思いがあります。

親の昔話を聞く

子どもは自分が生まれる前の親の姿を知りません。親が亡くなったあと、「親の若い頃の話を、もっと本人に聞いておけばよかった」と悔やむ声をよく耳にします。自分のルーツを知りたいという思いは誰にでもあるもの。それを早速、実行しましょう。

親にとっては、子どもが自分に興味を持って耳を傾けてくれるのはうれしいことですし、前述したように、昔に思いを巡らせることは、脳を活性化させ、心身によい影響を及ぼします。

「お母さん、子どもの頃、何が得意だったの?国語?音楽?」「お父さん、高校時代は野球部で、女子にモテたってホント?」と自分が興味あることや、親が喜んで答えそうなことを質問して話を引き出してみてください。

両親の出会いや、昔の恋愛についても話を向けると、親は当時に戻って華やいだ気持ちになるかもしれません。

「お父さんとどこで出会ったの?どこがよかったの?」と。本人(父)がいると照れて言えなかったりするので、母親一人のときに聞いてみましょう。

父親に「独身の頃、どんな人とつき合っていたの?」なんて過去の恋愛を探ってみてもいいかも。「そんなこと言えるか」と苦笑いされるだけかもしれませんが、こうした質問を重ねることで、今まで聞いたこともないような話が飛び出し、自分が知らない親の一面に触れることができます。

思い出の地を一緒に訪れるのもおすすめ。たとえば、親の実家や、親が新婚時代を過ごした場所。そこで懐かしい人々と会って話せば、さらに記憶が次々と呼び覚まされます。

もう実家や新婚時代の建物がなければ周辺を歩くだけでも、親は「新婚の頃、よくふたりでこの神社にお参りに来たわ」と当時の様子をリアルに思い出すはず。そういう話を聞けるのは子の幸せでもあります。

ただし、親に昔話を聞くとき、決して無理強いしないように心がけてください。質問をして「もう忘れた」「今更、言えるか」などと口をつぐんだら、それ以上は踏み込まない。言いたくないこと、思い出したくない過去もありますから。

イラスト/書籍『親への小さな恩返し100リスト』より
写真/shutterstock

親への小さな恩返し100リスト

田中克典
親への小さな恩返し100リスト
2024/12/13
1,650円(税込)
192ページ
ISBN: 978-4391164107

離れて暮らす親は気づけばもう70代。帰省のたびに、「親の老い」を実感しませんか? 
その姿を見ると、仕事や家庭の事情などで、ずっと一緒にいてあげることはできないけれど、「いつかなにか親孝行、恩返しをしたい」という気持ちが湧き上がってきます。

ですが、そう思っているうちにも、親は確実に老いていきます。
もしかすると、恩返しができるタイミングを失うかもしれません。
ケアマネジャーとして、介護の現場に長く身を置いてきた私は、そういった子の「後悔」の声を幾度も耳にしてきました。

「もっと好きなごはんを食べさせてあげればよかった」
「もっと一緒に旅行すればよかった」
「もっと話を聞いてあげればよかった」

そんな後悔をしないために、そして親に幸せな晩年を過ごしてもらうために、「恩返し」を始めませんか。

何をすればいいのか、何から始めればいいのか、考え悩む必要はありません。離れて暮らしていてもできる、また、次の帰省時にすぐできる「小さな恩返し」はたくさんあります。

この本ではそんな「小さな恩返し」を12の章に分けて、計100項目をリストアップしました。
できることから一つずつ始めることで、親は「いつまでも元気でがんばろう」という生きる意欲と気力を呼び起こすことでしょう。

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