長く映画ファンに親しまれた「ロードショー」。休刊からレーベル復活とのニュースに、うれしさと懐かしさの入り混じった思いがある。『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)を見たのがきっかけで映画ファンになった私は、まずは読者として「ロードショー」を手にし、のちにLA在住中にライターとしてもすこ〜しだけ、小さな記事を書いたりして関わることができた。いやむしろ、お世話になったと言ったほうがいい。この特集にふさわしくないかもなぁ、と思いつつ、書いてみようと思う。
1980年、私は学生ビザを取得して、単身、知人もいないロサンゼルスへと札幌から旅立つ。まだ留学ガイドの本もインターネットもない頃だったが、映画雑誌に投稿したり、同好誌に散文を書いたりしており、映画好きならアメリカに住んでみるべき、と思ったのだ。
地元の北海道新聞に映画コラムを送る約束があり、新作映画の紹介や、『スターウォーズ/帝国逆襲』(1980)公開の2、3日前から路上でキャンプして入場一番乗りを目指す熱狂的なファンの姿などをリポートしていた。『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)の初日上映で、ハリソン・フォードの階段を降りる足がアップになった瞬間に館内の女性ファンから湧きあがった嬌声!とか。あのときは純粋に驚いた。アメリカの観客ってスゴいと思った。