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世界中のアリスが集結「特別展アリス ーへんてこりん、へんてこりんな世界ー」が開催中

集英社オンライン / 2022年8月11日 17時1分

世界各国にファンが多く、アートやファッションへ影響を与え続けている『不思議の国のアリス』。その世界観に没入できる『特別展アリス ─へんてこりん、へんてこりんな世界─』を、アリスフリークでもある筆者がレポ。

7月16日(土)から東京・六本木の森アーツセンターギャラリーにて「特別展アリス ─へんてこりん、へんてこりんな世界─」が開催中。ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)の収蔵品に加え、コレクターや世界各地の博物館の所蔵品など希少な資料が出展された。

アリスといえば、ディズニーのアニメーション映画『不思議の国のアリス』と、その原作であるルイス・キャロルの小説を真っ先に思い浮かべる方も多いだろう。



しかし、今回の展示は小説や映画といった特定のジャンルにとどまらない。

端的に言えば、アリスと名のつくものであれば、なんでもOK! アリスから派生した文化をファッションから現代作家のアートまで広い視点で紹介している。

正直、会場を訪れるまでは「雑多にアリスに関する作品を並べただけの展示になっているのではないか」という一抹の不安を持っていたアリス好きの筆者。しかし、一度足を踏み入れると、期待以上に来場者を楽しませる仕掛けに溢れていた。

今回は3つの切り口から、本展の見どころを解説する。

見どころ1:「静」と「動」の2つの視点から紐解くアリス

本展覧会には、『不思議の国のアリス』の小説の初版に掲載されているジョン・テニエルの希少な挿絵をはじめ、さまざまな作品に登場するキャラクターやアリスの世界観を深く理解できる資料が約300点集められている。

例えば、原作の第3章に登場する現実世界では絶滅した「ドードー鳥」の複合骨格や、キャロルがキャラクターを創作する際にもとにしたアリクィスの「ハンプティ・ダンプティのじゃばら絵」など。

キャロルが着想を得たアイテムから、物語の世界をより深く知るためのヒントを得ることができるのだ。

アリスと言えば物語はもちろん、挿絵が単独で販売されるほど各キャラクターの可愛らしさ、ユニークさが人気を呼び、現在でもさまざまな形で商品化が進められている。

20世紀前半のアリスブームの際もキャラクターを起用した商品は多数発売されたそうで、その当時のグッズも展示されていた。100年も前からアリスのグッズ化が始まっていただなんて、改めて、その歴史の長さに驚かされる。

100年前に人気のアイテムは、アリスがプリントされたカードやお菓子の缶、木製のフィギュアなど

また、グッズや挿絵など、静止画を中心とした資料だけではない。ストップモーションを取り入れたヤン・シュヴァンクマイエルの『アリス』や、大ヒットを記録したティム・バートンによる『アリス・イン・ワンダーランド』シリーズなど、映像作品による展示も楽しむことができる。

特に現代の日本における映像作品の展示では、アリスをモチーフとしたアニメやゲームがこんなにあるのかということは非常に興味深かった。

今でこそ当たり前のように世界中で「アリス」という1つのジャンルが確立されているが、時代の流れとともに改めて振り返ると、新しい発見もあるということだ。

「静」と「動」2つの視点からアリスの世界を紐解いていけるのは、各国から集められた希少な資料が豊富な同展だからこそだと感じた。

見どころ2:アリスからインスピレーションを受けた現代の作家たち

1865年に誕生した「不思議の国のアリス」は、現代までの間に多様なジャンルのアーティストに影響を与えてきた。日本では明治時代にアリスの翻訳が始まり、1970年代にはアリスブームが巻き起こったそう。

そんな「アリスからインスピレーションを受けた」アーティストたちの作品が一堂に会しているのも注目したいポイントの一つだ。

ヒグチユウコや草間彌生といった現代の日本のアート界を牽引する作家、ヴィヴィアン・ウエストウッドやヴィクター・アンド・ロルフら多くのファッションデザイナーの心を射止めたアリス。

従来の勧善懲悪を良しとする物語の構図に縛られない、受け手の自由な想像を掻き立てるキャラクターとストーリーが、新進気鋭のアーティストたちの発想を刺激したのかもしれない。

『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』は道徳的な解釈を含まない最初の児童文学の一つと呼ばれている。確かに人間の言葉を話す動物たちや、口にすると体のサイズが変わる食べ物や飲み物、そして夢と現実が交錯するかのようなラストは独特だ。初めて読んだ時、困惑したという人もいることだろう。

アリスは好奇心旺盛で、ときに人のアドバイスよりも自分の心の声を優先してしまう。

このような何事にも臆しない勇敢なアリスの精神は、政治運動や社会運動を行う現代人に受け継がれているのだとか。アリスという作品の自由な解釈を受け入れる姿勢が垣間見える展示内容に思わず胸を打たれた。

見どころ3:遊び心溢れる没入型の展示

本展示会では、5つに分かれた展示空間のほか、アリスの摩訶不思議な世界に足を踏み入れたような没入型展示を合わせて楽しめるのも特徴だ。

お茶会のシーンや、消えては現れるチェシャー猫との出逢いのシーンなど、数多くの読者が「一度は体験してみたかった!」と描いていた夢を叶えられるのだ。

一見、ただの食器が並んだ長テーブルも、不思議の国の魔法にかかればパーティ会場に様変わり。子どもから大人まで楽しめる魅力的な仕掛けが満載だ。

プロジェクションマッピングを贅沢に使い、完全再現した幻想的なアリスの世界を実際に体験してみてほしい。

展示の終盤にある小説のラストシーンのパネルは、アリスの物語と展示会にいる自分がシンクロするかのような印象を受けた。そのパネルには次のような言葉が……。

壮大な『不思議の国のアリス』の冒険は次の場面で幕を閉じます。


最後の展示が終われば私たちの旅も終わり。アリスと同じく夢から覚めたような気分で、出口へと向かう。入場から約1時間。本のページを捲るように、入り口から出口までアリスの世界観に浸り続けた。

自由で何者にも縛られないアリスという作品の良さをさまざまな手法で表現した本展。

原作、派生作品問わずアリス作品のファンであるならもちろん、アリスに関するおぼろげな記憶を手繰りで懐かしむだけでも十分に楽しめる内容だ。

10月10日(月・祝)まで開催しているので、夏休みに家族で訪れるのもいいだろう。

この夏日本へとやってきた、アリスのへんてこりんな世界へ、ぜひ足を踏み入れてみてほしい。

取材・文・撮影/すなくじら


『特別展アリス─へんてこりん、へんてこりんな世界─』
会期:2022年7月16日(土)〜10月10日(月) ※会期中無休
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52F)
ホームページ:https://alice.exhibit.jp/

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