――「トキワ精神保健事務所」は、どのような業務を行う会社なのでしょうか。
「病識のない精神障害者を説得して医療につなげる」という説明が一番わかりやすいかと思います。具体的には、家族からの相談を受けて対象者を視察調査し、精神科病院の確保、保健所などの行政機関や場合によっては警察とも連携をとりながら医療につなぎます。その後も面会を通じて本人と人間関係を作り、障害者総合支援法による社会のサポートを受けられるように自立支援を行っています。
――主に対応困難な難治性精神疾患の患者さんを扱われているそうですね。
病院や行政も匙を投げ、警察は事件が起きなければ動けないという状況の中で、そういった方々に対応できるのは、おそらく私たちのところぐらいという非常に厳しい現状があります。
極端な例をあげれば、子供を殺した人が精神疾患により不起訴や無罪となり医療観察法による治療を受けることになっても、1年半ほどで社会に出てきます。ところが家族からすると、病状はさほど良くなっておらず未だ命の危険がある。「今後、どうしたらいいか」という家族からの相談もあります。