マンフレッド・ラクス宇宙法模擬裁判大会とは? 2024年アジア・太平洋予選は日本で開催 〜宇宙法模擬裁判に迫る・第1回〜
sorae.jp / 2023年12月13日 10時30分
2024年6月、「マンフレッド・ラクス宇宙法模擬裁判大会」アジア・太平洋予選が東京の学習院大学(豊島区目白)で開かれます。
アジア・太平洋予選では、中国、シンガポール、インドなどのアジア各国から、国際法や宇宙開発に興味のある学生が参加します。模擬裁判を行う日本の学生にとっては、日本にいながらにしてアジア各国の学生と弁論できる貴重なチャンスです。
しかし、宇宙開発に興味や関心を持っていたとしても、「宇宙法模擬裁判」について知らない方もいるでしょう。本記事は宇宙法模擬裁判を取材した筆者による連載記事の第1回として、「宇宙法模擬裁判とは何か?」について迫ります。
<宇宙法模擬裁判とは?>宇宙法模擬裁判は、法的思考力や議論を行う実践型の教育として普及した国際法模擬裁判の一種です。国際法模擬裁判は、架空の国家間紛争が発生したとき、両国の主張を国際司法裁判所(ICJ)に提出し、原告・被告を務める代理人の学生が議論を展開する設定で行われます。宇宙法模擬裁判も同じ形式で実施されますが、宇宙空間における事件や事故がテーマとなり、国際法だけでなく、宇宙法の知識も必要となります。
模擬裁判に出場するチームは、大学生や大学院生で成り立っています。出場時には、双方の国家がICJに提訴したと仮定して行われます。事前に公開された問題文(コンプロミ)をもとに、チームは原告と被告それぞれの立場から国際法や国際宇宙法などに基づいて論を組み立て、裁判官へ提出する書面(メモリアル)の作成と法廷での弁論を通じて、勝敗を争います。
学術的に新たな論点が問題文に盛り込まれている点が模擬裁判の面白さであり、一種の醍醐味でもあります。2024年は、「漆黒で静寂な空の保護と科学探査の自由に関する事件」と題されています。問題文では、通信衛星コンステレーションの1機が制御を失い、別の宇宙機関が打ち上げた宇宙望遠鏡と衝突してしまったケースが取り上げられています。このように、現時点では実際に起こる可能性が低いものの、将来的に課題となりそうな事象を取り上げるのが特徴です。
<宇宙法模擬裁判の歴史>宇宙法模擬裁判は、1992年にアメリカで始まりました。翌年には、ICJ裁判長だったマンフレッド・ラクス判事の功績を記念して、「マンフレッド・ラクス宇宙法模擬裁判大会」と呼ばれるようになりました。
1993年にはヨーロッパ予選、2000年にはアジア太平洋予選、2011年にはアフリカ予選が次々と開設され、大会の存在は世界中に広がっていきました。現在では、アフリカ、アジア太平洋、北アメリカ、ラテンアメリカ、ヨーロッパの5つの地域で予選が行われており、その優勝者は世界大会である決勝に進出できます。
<宇宙法模擬裁判大会について>世界大会は、国際法に関心のある人と宇宙開発に興味のある人の双方にとって良いポイントがあります。まず、世界大会の裁判官役はICJの裁判官が務めます。国際法を勉強している学生にとって、ICJの裁判官と弁論できるのは非常に貴重かつ良い機会でしょう。また、世界大会は国際宇宙会議(IAC)と呼ばれる、産官学の宇宙開発関係者が集まる世界最大級の会議と並行して行われます。2024年の世界大会開催地は、IACの開催地でもあるイタリア・ミラノです。宇宙開発に関心のある学生にとって、世界中の宇宙開発従事者と交流できるのは、この上ない経験となるでしょう。
なお、来年のアジア太平洋予選は、2024年6月に開催予定です。すでに申し込みも始まっており、エントリー締め切りは2023年12月31日となっています。詳細は以下からご確認ください。
アジア太平洋予選の概要 アジア太平洋予選・エントリーフォーム アジア太平洋予選公式インスタグラムマンフレッド・ラクス宇宙法模擬裁判大会アジア・太平洋予選は、学習院大学が採択を受けた文部科学省宇宙航空科学技術推進委託費により実施されます。
課題名「宇宙ルール形成に着目した文理融合×産官学連携による人材創造プログラム」
Source
Image Credit: IISL IISL - MLMC Asia-Pacific Regional Rounds IISL - MLMC 2024 日本宇宙法学生会議 - 宇宙法模擬裁判とは 神戸大学STP - 模擬裁判文/出口隼詩
この記事に関連するニュース
-
法廷内に大型モニター設置 盲導犬の同伴も 旧優生保護法訴訟で特別な配慮 最高裁大法廷
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月17日 13時55分
-
最高裁が障害者へ異例の配慮 旧優生保護法の強制不妊手術めぐる訴訟弁論で手話通訳や点字版資料など
日テレNEWS NNN / 2024年5月16日 21時44分
-
辺野古移設巡る住民訴訟、却下の一審を取り消し差し戻し…福岡高裁那覇支部
読売新聞 / 2024年5月15日 20時56分
-
長期化する強制不妊訴訟 「死んでも死にきれぬ」原告らの思い
毎日新聞 / 2024年5月15日 11時0分
-
留置場で「レクサスを買わないか」男が50万円騙し取った事件。被告人が語った“まさかの言い訳”
日刊SPA! / 2024年5月6日 8時53分
ランキング
-
1ドライバー不足で修学旅行の貸切バス手配が突然キャンセルに 近畿日本ツーリストは謝罪「総動員して修学旅行の実施に努める」
ねとらぼ / 2024年5月17日 16時5分
-
2「ガラケーの使い方が分からない…」スマホ世代の新入社員が訪問先で“やらかした”大騒動
日刊SPA! / 2024年5月19日 15時54分
-
3上川外相「うまずして」発言 SNSで「曲解」批判相次ぐ 専門家「状況を考慮する必要」
産経ニュース / 2024年5月19日 18時31分
-
4煮物だけじゃない!スーパーフード並みの栄養価「切り干し大根」の意外な食べ方
週刊女性PRIME / 2024年5月18日 8時0分
-
5「バヤリースオレンジの瓶、製造中止」SNSで拡散 アサヒ飲料「そのような事実はない」と否定
ねとらぼ / 2024年5月18日 11時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください