スペースワン「カイロス」初号機飛行中断の原因公表 2号機は2024年12月にも打ち上げへ
sorae.jp / 2024年8月26日 11時35分
スペースワン株式会社は2024年8月25日、同社の「カイロス(KAIROS)」ロケット初号機の打ち上げ結果と2号機に関する記者会見を開催しました。
カイロスはスペースワンが開発した全長約18mの3段式固体燃料ロケットで、ペイロード(搭載物)の軌道投入制度を高めるための液体推進系キックステージを備えています。内閣衛星情報センターの「短期打上型小型衛星」を搭載した初号機は2024年3月13日に和歌山県のスペースポート紀伊から打ち上げられましたが、発射約5秒後にロケットの自律飛行安全システムによる飛行中断措置が自律的に行われて射場直上で爆発し、衛星の軌道投入には至りませんでした。
スペースワンによると、カイロスに使用される推進薬の燃焼速度を予測するプロセスに問題があり、実際の性能よりも高めの推力が出ると予測してしまったことが、初号機の飛行中断の原因だと判明しました。初号機の飛行計画はこの高めの予測値をもとに立てられたため、1段目が実際に発揮した推力との間に数パーセント台の差が生じてしまい、自律飛行安全システムが飛行正常範囲を逸脱したと判断するに至ったと結論付けられています。
同社によると、カイロスの固体ロケットモーターは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の能代ロケット実験場で燃焼試験が行われており、初号機と同じプロセスで推力が予測されていたものの、試験時には予測された推力と実際の推力に有意な差がみられなかったため、プロセスに問題はないと判断されていました。同社は今後の打ち上げに向けた対策として、問題があった推進薬燃焼速度の予測プロセスの改善と、初号機では厳しめに設定されていた飛行正常範囲の設定見直しを講じたとしています。
また会見では、2024年12月の実施を目指してカイロス2号機の打ち上げ準備が進められていることも発表されました。ペイロードは重量50kgのマイクロサット1機と3Uサイズ(30×10×10cm)のキューブサット4機の合計5機で、高度500kmの太陽同期軌道に投入される予定です。2号機はペイロード以外は初号機と同じ構成で、各段はすでに射場に搬入済み。打ち上げ目標日時は打ち上げの2か月前に公表するということです。【最終更新:2024年8月26日10時台】
【▲ 参考画像:スペースポート紀伊で日本時間2024年3月13日11時1分に発射された「カイロス」初号機。テレビ和歌山のライブ配信から(Credit: テレビ和歌山/スペースポート紀伊周辺地域協議会)】
Source
スペースワン(ウェブサイト)文・編集/sorae編集部
この記事に関連するニュース
-
カイロス2号機現地取材 - 宇宙に到達も軌道には届かず、正念場の2機連続失敗
マイナビニュース / 2024年12月19日 14時30分
-
カイロス2号機打ち上げ失敗にネット落胆、捲土重来願う声
J-CASTニュース / 2024年12月18日 16時30分
-
カイロスロケット2号機、異常は1段目ノズルの駆動制御で発生 現在は海中に
ITmedia NEWS / 2024年12月18日 16時3分
-
【更新・追記】スペースワン、「カイロス」ロケット2号機を打ち上げ 発射後に飛行中断措置
sorae.jp / 2024年12月18日 12時26分
-
カイロスロケット2号機、リベンジならず 「ミッション達成は困難と判断し、飛行中断措置」
ITmedia NEWS / 2024年12月18日 12時23分
ランキング
-
1芸能人なぜ呼び捨て?「日本語呼び方ルール」の謎 日鉄会長の「バイデン呼び」は実際に失礼なのか
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 9時20分
-
2急増する大手黒字企業リストラのシビアな背景…2024年「早期・希望退職」1万人超え、前年比3倍に
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月15日 9時26分
-
3賞味期限「2年前」のゼリーを販売か…… 人気スーパーが謝罪「深くお詫び」 回収に協力呼びかけ
ねとらぼ / 2025年1月15日 7時30分
-
4「室内寒暖差がつらい…」その要因と対策が明らかに! - 三菱電機が紹介
マイナビニュース / 2025年1月14日 16時10分
-
5靴下真っ黒で徘徊…87歳老母が冷凍庫に隠していた「うなぎパック50個」の賞味期限を知った50代娘の切なさ
プレジデントオンライン / 2025年1月15日 10時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください