ハッブル宇宙望遠鏡が10年続くプログラムで観測してきた木星・土星・天王星・海王星
sorae.jp / 2024年12月24日 20時41分
こちらは「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」がこの10年にわたって撮影してきた木星・土星・天王星・海王星の画像を集めたもの。下段に木星、中段に土星、上段左に天王星、上段右に海王星が配置されています。
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)がOPALプログラムのもとで10年にわたり観測し続けてきた木星・土星・天王星・海王星の姿(Credit: NASA, ESA, A. Simon (NASA-GSFC), M. H. Wong (UC Berkeley), J. DePasquale (STScI))】 巨大な惑星たちの大気の変化を10年にわたって観測ハッブル宇宙望遠鏡によるこれらの惑星の画像は、太陽系の巨大な惑星たちの大気の変化を捉える「OPAL(Outer Planet Atmospheres Legacy)」プログラムのもとで取得されました。OPALは2014年に始まり、今年で10周年を迎えた長期間の観測プログラムです。
まず目を引くのは7点の画像が山なりに配置された土星です。土星の自転軸は公転軌道が描き出す平面に対して約27度傾いているため、地球から見た土星の環は見え方が少しずつ変化します。ハッブル宇宙望遠鏡が2018年から2024年にかけて毎年撮影した土星を見ると、南半球の環に隠されていた部分が徐々に見え始めるとともに、雲の色合いが変化していく様子がわかります。ちなみに来年2025年は土星が地球や太陽に対して真横を向けるタイミングを迎えるため、地球からは土星の環が一時的にほとんど見えなくなります。
次に注目したいのは天王星です。1986年にアメリカ航空宇宙局(NASA)の惑星探査機「ボイジャー2号(Voyager 2)」が撮影した明るい青緑色の天王星に目立つ雲はありませんでしたが、ハッブル宇宙望遠鏡は北極周辺に広がった白い帽子のような厚いヘイズ(もや)の極冠を捉えています。公転周期が約84年の天王星は自転軸が約98度も傾いているので、北極や南極では昼と夜がそれぞれ42年間も続きます。天王星は2028年に夏至を迎えるため、その頃には地球からは極冠を正面から観測できるようになります。
天王星ほど目立ちませんが、海王星でも暗斑と呼ばれる高気圧の渦や雲の変化が捉えられています。1989年のフライバイ探査時にボイジャー2号が初めて撮影した暗斑は、その後のハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測により、2年~6年かけて出現を消滅を繰り返していることが明らかになりました。また、ハッブル宇宙望遠鏡などの観測データを分析したところ、海王星の雲の増減は太陽の11年周期の活動と連動していることも判明しています。
忘れてはならないのが太陽系最大の惑星である木星です。ハッブル宇宙望遠鏡は木星の大気に出現しては消えていく幾つもの嵐や雲の帯の変化、そして木星最大の特徴である大赤斑を捉え続けています。木星の自転軸は約3度しか傾いていませんが、公転軌道の形は真円から少しゆがんでいるため、太陽に最も近づく時の距離(近日点距離)と太陽から最も遠ざかる時の距離(遠日点距離)は約5%変化します。そのため、ハッブル宇宙望遠鏡はOPALプログラムのもとで木星の大気に生じる季節的な影響を観測しているということです。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡を運用するアメリカの宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)をはじめ、NASAや欧州宇宙機関(ESA)から2024年12月9日付で公開されています。
大赤斑渦巻く木星の威容 ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した最新画像公開(2024年3月23日)
Source
STScI - NASA's Hubble Celebrates Decade of Tracking Outer Planets NASA - NASA's Hubble Celebrates Decade of Tracking Outer Planets ESA/Hubble - Hubble celebrates a decade of tracking the outer planets文・編集/sorae編集部
#ハッブル宇宙望遠鏡 #木星 #土星 #天王星 #海王星
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