泡とリングの二重構造、ふたご座の惑星状星雲NGC 2392
sorae.jp / 2020年10月11日 22時25分
こちらは「ふたご座」の方向およそ6500光年先にある惑星状星雲「NGC 2392」(Caldwell 39)です。中心にある星の恒星風に吹き飛ばされた物質でできた内側の泡状の構造と、彗星が幾つも並んでいるような放射状に広がる外側の構造を持っていて、1万年ほどの時間をかけてこのような姿になったとみられています。赤色、緑色、青色は可視光線で捉えた星雲の構造を、中心付近の紫色はX線で観測された100万度の高温ガスの分布をそれぞれ示しています。
惑星状星雲は、超新星爆発を起こさない太陽のような比較的軽い恒星が、赤色巨星になった頃に周囲へ放出したガスによって形作られる天体とされています。赤色巨星を経て白色矮星に進化していく熱い中心星が放射する紫外線によって、ガスが電離することで輝いていると考えられています。
ところで、特徴的な天体には通称が付けられていることがあります。たとえば散光星雲「M42」はオリオン座にあることから「オリオン大星雲(英:Orion Nebula)」として知られていますし、みずがめ座の惑星状星雲「NGC 7293」は「らせん星雲(英:Helix Nebula)」とも呼ばれています。
NGC 2392の場合、フードをかぶった北極圏の先住民を連想させるとして「エスキモー星雲(英:Eskimo Nebula)」と呼ばれてきましたが、NASAは2020年8月、「エスキモー」は植民地時代の人種差別的な側面を持つ用語であり、大半の公式文書ではすでに用いられなくなっているとして、今後はエスキモー星雲という通称を用いないことを明らかにしました。
NASAは同様に今後用いない通称として、おとめ座銀河団の相互作用銀河「NGC 4567」と「NGC 4568」の別名「シャム双生児銀河(英:Siamese Twins Galaxy)」を挙げており、これからも多様性、公平性、包括性への取り組みの一環として、好ましからざる意味合いを含む通称や用語の問題に引き続き取り組んでいくとしています。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡とX線観測衛星「チャンドラ」による可視光線とX線の観測データをもとに作成されたもので、2013年7月11日に公開されています。
Image Credit: X-ray: NASA/CXC/IAA-CSIC/N.Ruiz et al, Optical: NASA/STScI
Source: チャンドラX線センター / NASA (1) / NASA (2)
文/松村武宏
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