銀河の衝突で活発化した星形成活動の痕跡、南天“ポンプ座”の環状銀河
sorae.jp / 2021年3月30日 22時50分
銀河や恒星が集まっているように見えるこちらの画像、ゆがんだリング状の構造を持つのは南天の「ポンプ座」の方向およそ2億2500万光年先にある銀河「ESO 316-32」(AM 1006-380、Vela ring galaxy)です。
ESO 316-32は「環状銀河(ring galaxy)」と呼ばれる銀河のひとつで、大きな銀河の中央に小さな銀河が衝突して通り抜けた後の姿だと考えられています。印象的なリング状の構造は、小さな銀河が通り抜けた際に生じた衝撃波によってガスが外側に押し出された後に星形成活動が活発化したことで形成されたとみられています。
ヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、ESO 316-32は少なくとも2つのリング状構造を持っているのが特徴的で、観測されているのは衝突からだいぶ時間が経った姿であることが示唆されるといいます。
なお、ESO 316-32の左側で輝いている明るい星は、およそ1500光年先にある恒星「HD 88170」です。画像では隣り合っているように見えますが、地球からESO 316-32とHD 88170までの距離は約15万倍も異なります。
画像はESOのラ・シヤ天文台にあるMPG/ESO 2.2m望遠鏡による光学観測データをもとに作成されたもので、2016年5月9日付で公開されています。
関連:108億光年先、衝突によって巨大な穴ができた「火の輪」のような銀河
Image Credit: ESO
https://www.eso.org/public/images/potw1619a/
文/松村武宏
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