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渦巻き、楕円、重力レンズ。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した無数の銀河たち

sorae.jp / 2021年5月18日 21時19分

銀河団「ACO S 295」(Credit: ESA/Hubble & NASA, F. Pacaud, D. Coe)

【▲ 銀河団「ACO S 295」(Credit: ESA/Hubble & NASA, F. Pacaud, D. Coe)】

こちらは南天の「とけい座」(時計座)の方向にある銀河団「ACO S 295」を捉えた画像です。銀河団とは100~数千個もの銀河が集まった天体のことで、この画像にはACO S 295やその向こう側にある様々なサイズや形の銀河が数多く写し出されています。

画像でひときわ目立つのは中央付近に見える渦巻銀河ですが、その周囲には楕円銀河が散りばめられたように幾つも写っています。銀河の形態だけでなく、若くて高温な星が多いために青い色合いをした渦巻銀河と、古くて低温の星が多く赤い色合いをした楕円銀河の色の違いも印象的です。

銀河はその形態で分類されるだけでなく、見え方でも区別されています。画像中央の渦巻銀河のように地球に対して正面を向けているものはフェイスオン銀河、その上方に見えるような横を向けたものはエッジオン銀河と呼ばれています。フェイスオン銀河は渦巻腕のように平面的な構造が観測しやすく、エッジオン銀河では銀河の上下方向に広がる構造(流出するガスやジェットなど)を観測しやすいといった特徴があります。

また、銀河が集まる銀河団は重力が強く、地球から見てその向こう側にある銀河の像が歪んで見える「重力レンズ」効果をもたらすことがあります。画像では右上に像の歪んだ銀河が見えています。重力レンズの効果を受けた遠くの天体の像は歪むだけでなく拡大もされるため、本来よりも高い解像度で天体を識別することも可能です。

ここに見えている天体のほとんどが銀河であり、それぞれが数百億~数千億の星々で形作られていると考えると、同じように星空を眺める「誰か」がいる惑星もどこかにあるのではないかなと想像してしまいます。画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」と「広視野カメラ3(WFC3)」による光学および赤外線の観測データをもとに作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として欧州宇宙機関(ESA)から2021年5月17日付で公開されています。

 

関連:強力な「重力レンズ」の効果。銀河団の重力に歪められた遠くの銀河の像

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, F. Pacaud, D. Coe
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏

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