旧トステム(現LIXILグループ)創業者長女が相続財産110億の申告漏れを指摘された非上場株式評価の問題点とは?!
相談LINE / 2015年1月16日 19時0分
今月8日の報道によると、旧トステムの創業者の長女が相続財産について約110億円もの申告漏れを東京国税局から指摘された模様です。これだけ聞くと、悪質なことをやった、という印象がありますが、その背景には評価通達6項というとんでもない武器を国税が行使した、という事情があります。
■評価通達6項とは
相続税は相続した財産に対して課税がなされますが、この場合に問題になるのは、相続した財産がいくらになるか(財産の評価)です。お金や上場株式などであれば問題になりませんが、相続した土地や非上場株式については、いくらになるか定かではありません。
このため、国税庁はいくらで評価すべきか、というルールを「財産評価基本通達」で定めています。実務はこれを基に評価しているのですが、この中に「評価通達6項」というルールがあります。
そこには「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」と書かれています。
■自分でルールを決めておいて・・・
先の条文を見てもよく分かりませんが、簡単に言えば、評価通達で評価すると非常に問題がある場合には、別途国税庁が評価します、ということです。自分で決めたルールに対し、それを基準とすると不適当なことがある、という常識では考え難い内容がここにはかかれてあります。
ルールを決めると、それを逆手にとって税逃れをする、といった事態を想定しているわけですが、先の旧トステムの事案も、やりすぎた節税だから、という意味で「著しく不適当」と国税が判断し、評価額をかさ上げしたのです。
■対応が大きく変わった!
自分で作ったルールを否定するわけですから、国税はこの規定をおいそれと使うことはありません。特に近年は、納税者の権利意識が高まったこともあり、非常に慎重になっていたという印象があります。
しかし、今後はこの方針を転換させ、もっと税金を取ろうというのが国税のスタンスになりつつあります。行き過ぎた節税か否かが問題になりますので、節税を行う場合には、専門家とも相談しながら慎重に対応する必要があります。
一つ言えるとすれば、あからさまな節税を避け、節税目的以外の理由を用意しましょう。節税色が薄ければ、国税もそう簡単には「けしからん!」とは言い難いはずです。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
資産総額9,000万円の父急死→資産総額3,800万円の母も急死…「ダブった相続手続きをどうすれば」「両親の死、悲しむ余裕もない」40代独身長女の大混乱
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月19日 11時45分
-
最大「2,500万円」を無税で贈与!「相続時精算課税制度」利用すべき3パターン【税理士の解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月14日 9時15分
-
年110万円までは非課税でしょ?…年金月35万円の80代・元公務員夫婦、溺愛する51歳ひとり息子への“お小遣い”に「多額の追徴課税」のワケ【税理士の助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月12日 11時15分
-
自宅の評価額はどれだけアップ?令和6年から始まった「マンション評価」を解説
トウシル / 2024年5月10日 11時0分
-
羨ましい!と思いきや…「親がタワマンを持っている人」に待ち受ける“2030年以降”の悲劇【マンショントレンド評論家が警告】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月21日 10時15分
ランキング
-
1イオンの「幸せの黄色いレシート」キャンペーン。レシートを使って寄付したいけど、不良品を「返品」できなくなるの?「寄附」と「レシート保管」を両立させる方法を解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月19日 5時10分
-
2飲むヨーグルトが「乳酸菌バブル」でジリ貧の理由 市場は逆転寸前、かつての人気を取り戻せるか
東洋経済オンライン / 2024年5月19日 7時20分
-
3ラーメン屋経営で地獄見たプロレスラーの気づき 川田利明が向き合う「お客様は神様です」の怖さ
東洋経済オンライン / 2024年5月19日 12時30分
-
4広がるタッチ決済乗車は訪日外国人観光客対応か 話題の「二重価格」が鉄道・バスに導入される可能性
NEWSポストセブン / 2024年5月19日 7時15分
-
5社員16人→200人超に “知名度ゼロ”で新潟に進出したネット広告会社「5年間の成果」
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月19日 18時31分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください