成果主義の給料制度「年俸制」ーーもしもサラリーマンが年俸調停をしたら?
相談LINE / 2016年1月13日 20時0分
仕事の成果に応じて給与を決められる給料制度「年俸制」は、月給制と比較して、経営者にとってメリットが大きいと言われている。具体的には、目標設定とその達成度が明確になるため、優劣がつけやすくなるところだろう。あるいは年齢や社歴などが一切無関係な競争風土が生まれるなど。
いずれにしても成果主義の特徴が色濃く反映されている年俸制は、プロスポーツの世界では当たり前となっている。では、もしも年俸制を導入している企業で、サラリーマンが自身の給料に納得がいかないと主張し、裁判を起こすとどうなるのだろうか。これについて、労働問題に力を入れている峯岸孝浩弁護士に話を伺った。
■実際に裁判にまで発展するのは『解雇、残業代未払、賃金切り下げ、セクハラパワハラ』
「労働問題に関する相談は様々ですが、実際に受任、裁判となるトラブルは『解雇、残業代未払、賃金切り下げ、セクハラパワハラ』が多いですね」(峯岸孝浩弁護士)
まずはこう述べた峯岸孝浩弁護士。では人事考課について納得がいかないという理由で裁判を起こすケースはどうだろうか。
「明らかに不当な理由に基づいた不利益取扱あれば、訴えることができます。たとえば『性別、有給の利用、産休による休業』を理由に人事上不利益に取り扱うことは、無効です。言い方を変えれば、不利益取扱が明らかでなければ、訴えるのは難しいと言わざるを得ません」(峯岸孝浩弁護士)
「特に『能力』については客観的に評価することが困難です。プロスポーツ選手であれば成績というわかりやすい数字がありますが、サラリーマンはそうではありません」(峯岸孝浩弁護士)
■評価や給料について裁判を起こすのは難しい
では、売上という分かりやすい数字で評価を下すことが可能な営業マンであればどうだろうか。
「もちろん営業マンであれば売上という数字で判断できる部分はありますが、勤労意欲、勤務態度など数字にできない部分も総合して判断することになるでしょうから、やはり客観的な評価は困難です」(峯岸孝浩弁護士)
能力とその評価に対して、納得ができないと裁判を起こすのは難しいとのこと。確かに売上以外にも重要な人事考課はある。例えばチームやプロジェクトに対しての貢献度なども、目に見えない部分ではあるが、その人を評価する上で欠かすことはできないだろう。
■「給料に不満がある」という人達の理由に注目するべき
月給制は、成果が反映されないという理由で不満を抱いている人が多い。それに対して年俸制は、残業代がつかないからとのこと。
しかしどちらにも共通して、圧倒的に多いのは、制度自体の問題ではなく「給料が少ない」という不満である。
本人の実力や努力が不足していたり、会社の業績が落ちているのであれば致し方ない。しかしそういった事情ではなく「頑張ってるのに、正当に評価されているとは思えない」という理由がそこに存在しているならば、給料が少ないという不満にも納得できるだろう。
不満を解消し、従業員の満足度を上げるためには、給料制度ではなく、この「不当な評価」に対してどう対策していくかが重要である。
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