「相続税払う為に相続財産売却」するなら絶対使った方がいい特例(松嶋洋)
相談LINE / 2016年4月11日 21時0分
ご存知の方も多いと思いますが、相続税の課税最低限を大幅に減らすなど、相続税の大増税が平成27年からスタートしています。この大増税について、知っておくと都合がいい対策として、相続税の取得費加算とみなし配当課税の特例があります。
■相続税の取得費加算とは
相続税の取得費加算とは、相続により取得した財産のうち、相続税の対象となったものを一定期間中に売却した場合には、納めた相続税のうちの一定額を、譲渡所得の計算上控除できる取得費に加算できるという制度です。
相続により取得した財産については、相続税の対象になる反面、それを売却した場合には譲渡所得税がかかります。このため、二重に税金がかかるような話になりますから、その調整として、納めた相続税の一定額を、譲渡所得から控除できるようにしたのがこの制度です。
■3年10カ月以内の売却が適用対象
高額の相続税を納税するために、相続財産を手放してお金を作らざるを得ない。こんな話を聞いたことがあると思いますが、そのような事態がよく見られるからこそ、このような特例が認められています。
この点を踏まえ、この制度は、相続から3年10カ月の間に行った相続財産の譲渡について適用されるとされています。相続税の申告納税期限は、相続開始日から10カ月とされていますので、申告期限から3年間の譲渡について適用されるとお考え下さい。
なお、相続税を納税する以外の理由によって譲渡した場合にも、この特例を適用することはできます。
■概算取得費とも併用も可能
その他、この制度が優れているところは、概算取得費とも併用ができるという点です。
相続で取得した不動産などは、いくらで買ったかわからない場合も多くあります。購入金額が分からなければ、譲渡所得の計算上控除することができる取得費も分かりませんので、原則として収入金額の5%を取得費とする、という取扱いになっています。言い換えれば、わからなければ収入金額の95%に対し、譲渡所得税を課税するとされています。
このような仕組みを概算取得費と言いますが、この概算取得費に対しても、本制度により一定の相続税額を加算することができます。
●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。
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