対照的なJALとANA。“人件費が高くなる”要因によって「明暗が分かれる可能性」が
日刊SPA! / 2024年2月15日 8時53分
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中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
4月1日にJALの新社長として鳥取三津子氏が就任します。客室乗務員の出身で、初の女性社長ということもあり、大々的に報じられました。マネックスグループやポーラなど、大企業のトップを女性が務めるのは珍しくなくなりつつあります。しかし、JALのような歴史の長い超巨大企業では非常に珍しい事例です。
JALはコロナ禍からの業績回復が鮮明ですが、ANAにはない最大の弱点を抱えています。それを克服できるのかが注目のポイントとなるでしょう。
◆LCCと貨物を強化したJAL
JALは2023年4-12月の売上高が、前年同期間比24.2%増の1兆2493億円となりました。コロナ禍を迎える前の2019年同期間の売上高は1兆1308億円。2023年はコロナ前と比較して1割増加しています。コロナ禍からの回復が鮮明になりました。
そして、2024年3月期通期の売上高を1兆6840億円と予想しています。これは2020年3月期の売上高1兆3859億円を2割上回ります。一方、ANAは今期に2兆300億円の売上高を見込んでおり、2020年3月期と比較すると2.8%の増加に留まります。
2021年6月に中国系のLCCである春秋航空日本を連結子会社化し、貨物専用機を導入するなど、主力の旅客収入以外の領域を強化。
ちなみに2020年度から羽田空港からの国際線ネットワークを大幅に拡大しています。JALは2010年に経営破綻して3500億円もの公的資金が注入されました。そのため、2012年から2016年までの再建期間中は、国が競争環境維持のために管理・監督をするという方針がとられます。いわゆる「8.10ペーパー」です。法的拘束力はないものの、JALは新規路線開設を抑制されていたのです。
国土交通省は2013年、羽田空港国際線発着枠の配分について、ANAは11枠、JALは5枠をそれぞれ割り当てています。このころ、破綻したJALは不利な条件での競争を余儀なくされていました。
しかし、2017年からはその効力がなくなります。JALは2020年にアメリカやフィンランド、オーストラリア、インド、中国の各都市への路線を新規開設・増便しました。1日22便から34便に増えています。
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