「妻にバットで殴られ、刃物で切られた」男のDV被害、“報道されない”実態を支援者が語る
日刊SPA! / 2024年3月13日 8時51分
味沢氏によると、DVの被害者・加害者になりやすい人には一定の傾向があるという。
「成育段階で、親からコントロールを受けている人は男女問わず、被害者にも加害者にもなりやすいです。女性の場合は成育の段階で、女の子らしくしなさいなど、自己決定や自己主張をするトレーニングを受けていない人が加害者になりやすい。そういう女性は結婚後、夫に対し、言いたいことを言えないし、コントロールされることを望みます」
夫婦2人の関係性ならば、それで済む。しかし「子どもが産まれるとそうはいきません」と語る。
「女性の加害者はいい妻・いい母になれないという役割意識から、自分を責めてしまい、ためこんでしまう。それがプツンときたときに暴力になります。また男性の加害者の場合は、逆にコントロールしようとします。女性に負けてはいけないという気持ちが働き、なんで妻は分からないのだという気持ちが暴力につながるのです」
◆包丁を出すにも理由がある
過去にトラウマを与えた相手とは別の相手を目の前にしても、フラッシュバックし、目の前にいる相手にその気持ちをぶつけてしまう。味沢氏はそういった“痛み”を抱えた女性たちの悲痛な声に、深夜まで対応する。カウンセリング料金は、1回3000円だ。
「攻撃的になるのは自己防衛です。過去の“傷つき”や“痛み”からきています。カウンセリング料金を3000円にしたのは、臨床心理士などは話を聞くだけで1万円~1万5000円と高いので、お金がない人は続けられないからです。こちらは利益抜きで支援にあたっています」
◆男性がDV被害者になったらどうする?
「本来ならば支援をする場所があればいいけれど、少ないのが現状です。各地自体の男女共同参画センターは男性の相談も受けていますが、本格的な支援ではありません。男性の支援もしているというアリバイ作りになってしまっています。女性からのDVで『怖い』『つらいんだ』と相談し、逃げ場や支援先を見つけて行くしかありません。日本家族再生センターでもDVモラハラホットラインを設置しています」
女性からのDVが始まったら、タイムアウトする・逃げるとしても男性用のシェルターはほとんどない。
「漫画喫茶やホテルに逃げて、距離を置くしかないですね。また、日ごろから、警察に相談しておくと警察も動きやすい。そうでないと(女性からのDVなんて)大したことねえだろうと思われてしまう。包括的にケアするには、心理学の知識だけではダメです。“社会を知る”ことが大切です。心理学では、貧困や差別などの社会病理は学びませんし、法律や司法の現実も学びません。また個々の家族の問題も教科書にはありません。家族の暴力は容易に連鎖するという生育の問題もあります」
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