3度の値上げでも「餃子の王将」が快進撃を続けられるワケ。競合の“格安中華チェーン”にはない強み
日刊SPA! / 2024年4月17日 8時52分
両店の違いを筆者の視点で見比べてみたい。店舗数は餃子の王将729店(2024年1月時点)、バーミヤン354店(2024年3月時点)であり、店舗数は倍の差がある。100席程度の大型標準タイプ店で郊外型が中心のバーミヤンに対して、規模も立地もさまざまな餃子の王将。家族連れで行くのは、ゆったりと落ち着いた雰囲気でくつろげるバーミヤンを好む人も多いが、近くにあまり店がないといった不満があるようだ。
◆顧客満足度を高める「QSC」とは
店舗経営で、顧客満足度を高めるために重視するのは、QSCである。Qは品質、Sはサービス、Cはクリーンリネスである。Qの品質において商品力と価格のリーズナブル性は、甲乙つけがたく思えるが、裏メニューなどメニュー以外のカスタマイズ化は餃子の王将のほうが柔軟性もあり、聞き入れてもらえて満足感が増す。バーミヤンは料理提供のほとんどを配膳ロボットが担っており、ホールに店員さんも少ないので言いにくい点は否めない。
Sのサービス(接客)においては、餃子の王将は気さくでフレンドリー感があり特に違和感はないが、バーミヤンのほうが丁寧で気配りのある接客であろう。
Cのクリーンリネスは、店内の清掃の質を表し、特に衛生的、見た目の清潔感が問われるが、従業員の制服の着こなしも含め整理・整頓・清潔・清掃は、バーミヤンのほうに軍配が上がっている気がし、餃子の王将に行く客は、あまりそこまで要求しないように感じる。
上記のように、ターゲット客やメニュー内容は似ている両社だが、中華料理店だけの単一事業で市場を深耕してシェアを高める餃子の王将と、複数の業態を開発して複数ブランドのシナジー効果を得ながら、また多角化のリスクを分散するバーミヤン。異なる経営路線の両社の事業展開を、今後も興味を持ちながら見ていきたい。
<TEXT/中村清志>
【中村清志】
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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