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「ただ勉強ができるだけ」東大から大手企業に就職、MBAも取得した38歳が、自分を“弱者男性”だと思うワケ

日刊SPA! / 2024年4月19日 8時54分

◆弱者男性という概念は政治と教育の産物

そもそも、「弱者男性」とはどういう意味か。成蹊大学文学部教授で、弱者男性をめぐる言説に詳しい伊藤昌亮氏に聞いた。

「1992年、社会的弱者の交流の場を設けるべく結成された『だめ連』が掲げた『モテない・職がない・うだつが上がらない』という“だめ”の基準が、もっとも包括的に弱者男性を表していると思います。恋愛・経済・コミュニケーション弱者ということです。当時、この3つを有するオタクは弱者男性の象徴として扱われ、差別の対象となりました。’00年代になると、非正規雇用問題を端に経済弱者が注目されるように。’02年には、『生きる力』の養成を目的にゆとり教育が開始。しかし、『生きる力=コミュ力』と曲解され、コミュニケーション弱者がより浮き彫りになっていきました。弱者男性という概念は、政治と教育によってもたらされたのです」

弱者男性に明確な定義はないなかで、ライターのトイアンナ氏は弱者男性を自認する人々を取材して挙がってきた“弱者性”の要素を16のカテゴリーに分類した。このカテゴリーを複数持つ高学歴男性も少なからずいる。

◆弱者男性への調査で挙げられた「弱者性」のカテゴリー

a 障がい者

b 信者の家族

c 引きこもり

d 介護者

e 虐待サバイバー

f 犯罪被害サバイバー

g 多重債務者の家族

h 容姿にハンディのある人

i 貧困

j 性的マイノリティ

k 境界知能

l 非正規雇用・無職

m コミュニケーション弱者

n 3K労働従事者

o 在日外国人、民族的マイノリティ

p きょうだい児

「小樽商科大学の池田真介教授の協力で、このカテゴリーに一つ以上当てはまる男性の数を推計すると、最大で1500万人の弱者男性がいることが明らかになりました。学歴だけ見れば“強者”でも、家族の借金返済で貯金を使い果たしたり、介護に追われて疲弊するなど、さまざまな事情で弱者になってしまう。特に年収が低く、人間関係に恵まれていない人が弱者だと自認しやすい傾向にあります」

◆弱者の新たな概念が論じられ始めた

意外にも、高学歴だからこそ弱者性を感じやすい面もあるようだ。

「頑張って勉強していい大学に入ったという実績があるだけに、コミュ力の高い人ばかりが優遇され、就職や恋愛で評価されない状況がいっそう辛くなる。このように、他者と比較して望むような結果が得られず、憤りや不満を感じる状態を『相対的剥奪感』と言います」(伊藤氏)

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