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ヤマトと佐川で分かれた明暗。「Amazonからの撤退」が分岐点に――大反響・総合トップ10

日刊SPA! / 2024年4月27日 15時44分

 2013年に佐川が下した決断こそ、Amazonからの撤退でした。個人宅向けの細かな荷物は配送に手間がかかり、1つ当たりの配送料も高くはありません。ただでさえ、人手不足な業界にも関わらず、業務負荷は高まる一方です。

 佐川は細かい荷物からの脱却を図り、単価が高い大型の荷物を中心に扱うようになりました。それが奏功して利益率を高めることができたのです。

◆粛々と構造改革を進めていたヤマト

 ヤマトは2020年3月期に営業利益率が2.7%まで下がりました。前年と比較して0.9ポイント落としています。そこからコロナ禍のEC特需に見舞われ、営業利益率は5.4%まで回復しました。一時的に回復はしたものの、再び少しずつ利益率を落としています。

 日本郵政との協業は、ヤマトの配送負荷を軽減し、利益率を高める狙いがあるのでしょう。

 ネコポスの2023年3月期の取り扱い個数はおよそ4億1300万個。単価は189円でした。このサービスの売上高は781億2700万円となる計算です。

 クロネコDMは8億冊取り扱い、単価は67円。売上高は536億3500万円です。両サービスをあわせた売上高は年間およそ1300億円。協業体制をとることでこの分の売上高が減少する可能性もあります。

 しかし、ヤマトは2024年3月期の売上高を前期比3.3%増の1兆8600億円と、増収を見込んでいます。予想通りの着地で営業利益率は4.3%。1ポイント増加する計画です。

 利益率の低下に苦心していたヤマトは、高単価であるBtoB取引のシェア拡大に取り組んでいました。その成果が表れているように見えます。

 ヤマトの構造改革が進んで増収増益効果が高まっているのであれば、日本郵政との協業によるコストカットは更なる収益性の改善に寄与するでしょう。

◆デジタル化の波に飲まれた日本郵政

 さて、日本郵政は業績が振るわない典型的な会社の一つ。2015年3月期から9期連続の減収に見舞われています。2024年3月期も減収を予想しており、10期連続という不名誉な記録を残すことになりかねない状況です。

 減収の主要因は、郵便物の取り扱い数の縮小。2023年3月期は郵便が2.8%、ゆうメールが7.0%、ゆうパックが0.8%それぞれ減少しています。

 メールやLINEなどでコミュニケーションが図れるようになっただけでなく、請求書のやり取りも電子化されました。郵便を使う機会が失われています。しかも、ドル箱だった年賀はがきは縮小の一途を辿っています。2003年に44億枚発行というピークを迎えてから、2022年は16億枚程度まで減りました。

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