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ドンキの新業態「ドミセ」、なぜ渋谷から異例の早さで撤退?Z世代向け「キラキラドンキ」との明暗

日刊SPA! / 2024年5月3日 8時52分

 一方、イオン所沢店跡に2020年9月に開店した「コスメドンキ・お菓子ドンキ所沢トコトコスクエア店」を2023年9月に閉店するなど、業態間では明暗も分かれている。所沢の場合は施設内に「オーケー」「ミスターマックス」といった大型ディスカウントが営業するなど特殊事情も重なるが、各業態は依然として実験店としての側面が色濃いのも実情だ。

 ドンキはドミセ渋谷道玄坂通ドードー店とは別に、2023年9月にはセブン&アイHD系商業施設に「ドミセアリオ八尾店」を開店しているが、アリオ八尾店も度重なるリニューアルを経て、当初のコンセプトからの逸脱がみられており、店名こそドミセであるが、実質的に普通のドンキ小型店として営業している。

◆ドミセ閉店と似たような騒動は前にも?

 今回のドミセ閉店騒動はドンペン引退騒動にも重なる。

 ドン・キホーテは2022年12月16日に公式Twitter(現x)アカウントにて、公式キャラクターを「ドンペン」から情熱価格のロゴマークを意識した「ド情ちゃん」に変更する方針を発表。ドンキやドンペンのファンを中心に賛否を呼び、ドンペン引退は即日撤回となるが、Twitterではトレンド1位になるなど情熱価格のプロモーションに結びついた。

 ドン・キホーテは都内でも2017年2月開店の神保町靖国通り店を約8か月後となる同年10月に閉店、2018年5月開店の赤坂見附店を約9か月後となる2019年2月に閉店するなど、以前より短期間での開店閉店を繰り返しているが、今回のドミセ閉店のように大々的に報道発表を打ち出すことは極めて稀であった。

◆渋谷道玄坂通でキラキラできる?

 報道発表では「キラキラと輝く笑顔になれる店づくりに挑戦」「閉店後の同店区画の活用につきましては、改めてお知らせいたします」といった表記があったこと、ドミセ閉店決定時点で店頭や壁面にキラキラドンキ仕様のPOPや張り紙、ただ今店内改装中といった掲示があったこと、現場レベルで営業継続の周知があったことからキラキラドンキへの業態転換は既定路線であり、プロモーション戦略の一環だったといえる。

 ドンキは2024年4月23日時点において、三井不動産系の「ダイバーシティ東京プラザ」やイオンモール系の「横浜ワールドポーターズ」、近鉄百貨店系の「近鉄パッセ」、北海道地場再開発ビルの「モユクサッポロ」など幅広い地域や立地にキラキラドンキを展開しているが、東京都心繁華街への出店はドミセ跡が初となる。ドミセ跡への開店にあわせ、キラキラドンキ各店ではWEGOや人気アニメ・ゲームキャラクターとコラボした限定商品を発売するなど、既存業態との違いを明確に打ち出すプロモーションを仕掛ける。

 相次ぐ再開発により洗練された大人も楽しめる街として変貌しつつある渋谷であるが、今もなお訪日外国人観光客にとって渋谷は「若者の街」「ハチ公」「スクランブル交差点」としてキラキラと輝き続けている。変わりゆくドンキが変わりゆく渋谷という街で「ミセ」を超えた「キラキラ」を実現できるだろうか? 冒険者であるドンキの実験の行く末に期待したい。

<取材・文・撮影/淡川雄太(都市商業研究所)>

【都市商業研究所】
『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken

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