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ライバル候補者の街頭演説に突撃…爆音で音楽を流す“選挙妨害行為”が法的に制止できず、警告に留まる理由

日刊SPA! / 2024年5月3日 8時51分

もちろんそんな事態が簡単に起こり得るわけはありません。しかし、法的に可能ならば、それを悪用する人が出てくることも想定しておかなければなりません。

仮に公職選挙法を改正して妨害行為を明確化しても、それに触れない範囲で“妨害”が繰り返されるだけなのです。

◆選挙妨害は「古くて新しい問題」

今回、選挙妨害が話題になったのは、SNSや動画共有サイトという可視化されるツールが定着したからです。つまり、これはインターネット選挙による弊害でもあるわけですが、だからと言って「選挙にインターネットを使うことは禁止しよう」といった主張にも無理があります。時代を逆戻りさせることはできません。

東京15区の補選で改めてクローズアップされた選挙妨害ですが、これまでにも何度も議論された話でもあり、実は古くて新しい問題でもありました。

今回の東京15区では、突撃を回避するために街頭演説の日程を非公表にするという対策が取られました。しかし、街頭演説の日程を非公表にしても効果はなく、他陣営による突撃は続きました。街頭演説の日程を非公表にしたことは、有権者が候補者の訴えを聞く機会を奪っただけの結果になったのです。

◆乙武候補の訴えはピント外れだった?

そして、こうした選挙は大きな教訓を残しました。乙武候補は、選挙戦の途中から「公職選挙法を改正して、こうした妨害行為をできないようにしよう」と新しい公約を街頭演説で訴えました。

思うように選挙活動ができなかった心情は理解しますが、だからといって、政治家(もしくは政治家を目指す立候補者)が口にする公約ではありません。有権者の行動を制限することにつながるからです。

乙武候補以外にも、突撃を受けた候補者はいます。しかし、その候補者達たちから「公職選挙法を改正しよう」という声は出ていません。

突撃が選挙という民主主義を脅かす行為なら、公職選挙法を改正して強権的にギャラリーの行動を制限することも民主主義を脅かすことにつながります。

今回の3補選は、立憲民主党の候補者が全勝したいう結果に注目が集まっています。しかし、それ以上に選挙制度における問題点を炙り出し、選挙戦のあり方を考える出来事にもなりました。

<取材・文・撮影/小川裕夫>

【小川裕夫】
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

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