「これで65歳までは安心」と思っていると痛い目に遭う!再雇用に潜むリスクを専門家が解説
日刊SPA! / 2024年5月4日 8時52分
雇用形態も変わる。嘱託社員やパート・アルバイトなどいろいろあるが、いずれも契約社員の一種だ。
権限や雇用条件なども正社員と異なるので注意すべきだが、もっとも注意が必要なのは、契約期間のある有期雇用になることだ。再雇用の社員の契約更新をせず、短期間で契約終了にすることは禁じられているが、実際には雇い止めとなったシニアもいるので注意したい。
退職金制度のある会社のほとんどは定年時に退職金が支払われ、再雇用後はもらえるものがなくなる。今は働いて収入があっても、退職金は老後の将来を支える貴重な資産のため、計画的に使いたい。
◆リスク2 大企業では元気でも「バリバリ働けない」
では、シニアが大企業で再雇用された場合には、どのようなリスクがあるのだろうか。大企業はそもそも賃金が高めで、再雇用や退職金などの制度も整っているため安心できそうだが、それでも大企業特有のリスクがある。
大企業ではまず、中小企業よりもシニアが歓迎されない場合が多い。シニアも若手も社員数が多く、早くポストを空けたかったり、高い人件費を圧縮したかったりするためだ。そのため、再雇用後に「追い出し部屋」と呼ばれるような、閑職・やりがいを感じない仕事や部署に異動となり、自主退職の圧力を受ける場合がある。
また、社員数が多く、社内ルールが厳格な場合が多いことで、自分の立場が下がったことを強く意識するかもしれない。これまでの部下が上の立場になったり、入室や情報アクセスの権利がなくなったりする場面も多いだろう。
そして、大企業での再雇用で多いのが、勤務日数の一律制限だ。まだ体力・能力は衰えていないもかかわらず、一律で「週3日勤務」などにされてしまうことがある。暇をもて余す・やりがいを失うだけならばよいが、勤務日数の制限は給与の減少にもつながる場合があるので要注意だ。
◆リスク3 「同じ仕事なのに」給料がガクンと下がる中小企業
さて、中小企業での再雇用のリスクは、共通でも挙がった給与減少が第一に来る。大企業と異なり、「定年前とまったく同じ仕事内容、勤務時間にもかかわらず、給与だけが大幅に下がる」といったことが発生し、不満の対象となりやすい。冒頭の裁判の話も、こうした事態について争っているものだ。
このように、定年前と同じ仕事内容や勤務時間であることが負担になるシニアもいる。個人差はあっても徐々に体力が衰え、健康リスクも上がる。入院や通院が発生したり、体力的に難しい仕事が出たりする場合があるが、配慮がない会社だと柔軟に対応してもらえないことがある。
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