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私有地にある「罰金の張り紙」、支払う義務はあるのか?「法律や条例ではない」ことがポイントに

日刊SPA! / 2024年5月6日 8時54分

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画像はイメージです(以下同じ)

公共の場所での路上喫煙や違法駐車を監視員に指摘された場合、法律なり条例なりに相当する罰金を支払う必要があるのは周知の事実である。
一方で、私有地に警告文が掲げられているケースも見受けられる。そこには「無断駐車禁止」といった独自のルールを破った際、支払うべき「罰金」が明記されていることも珍しくない。こうした場合、提示された罰金を支払う義務はあるのだろうか。司法書士法人みつ葉グループの代表司法書士・宮城(みやんじょう)誠氏に素朴な疑問をぶつけてみた。

◆罰金ではなく、法律に基づいた「損害賠償」を支払う必要があるかも

月極の駐車場や、飲食店やコンビニの駐車場で「無断駐車禁止。発見した場合は罰金1万円」などと書かれた張り紙をよく目にする。多くの場合、罰金は1万円と設定されていることが多い印象だが、なかには5万や10万と言った高額なものも。

駐車場の持ち主は、本当にその額を請求できるものなのか。宮城氏は次のように解説する。

「アパートの敷地や駐車場など、私有地での無断駐車は公道と違って道路交通法上の処罰はありません。そのため、『罰金』という形で支払う必要はありませんね」(宮城氏、以下同)

もちろん無断駐車をするつもりはないものの、少しホッとした。「罰金」は国や自治体が法律や条例で定めて初めて発生するため、私人同士では用いられないということだ。しかし、必ずしも金銭を払わなくてよいというわけではないと宮城氏は続ける。

「法律的に無断駐車は不法行為(民法709条)にあたるので、損害賠償を請求することができます。ここでいう損害賠償とは『無断駐車によって生じた損害』のことで、近隣の時間制コインパーキングなどの料金をもとに金額を算出することが通例ですね」

◆日本では禁止されている「自力救済」

さらに無断駐車に対して、「タイヤの空気を抜きます」「レッカー移動します」など、穏やかでない文言が並んでいることもある。所有者の気持ちになれば、制裁を加えたい気持ちになることも理解はできる。さて、これらの制裁行為に対して法律はどのような解釈をしているのか。

「日本では、裁判などの司法手続によらず、自己の権利を確保する『自力救済』が禁止されているんです。つまり車両を傷つけてしまうと、刑事罰に問われてしまったり、損害賠償を求められてしまったりする可能性もあるので、注意が必要ですね。仮に無断駐車した車のタイヤの空気を抜いたら、器物損壊罪(刑法261条)にあたる可能性があります」

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