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「絶対にアメリカに行ったほうがいい」岡島秀樹がメジャー行きを意識した“新庄剛志の言葉”

日刊SPA! / 2024年5月8日 15時51分

 日本では桑田真澄からチェンジアップを教わったものの、ものにすることはできなかった。しかし、このときサンタナから伝授されたのはすべての縫い目(シーム)に指をかける新しい握り方だった。

「すべてのシームに指をかけるから滑らないんです。グリップはしっかり固定して、指を少しずらせばシュート回転しながら落ちたり、真っすぐ落ちたりと自由自在でした」

◆魔球「スプリットチェンジ」の誕生

 キャンプ前にすでに、岡島は「スプリットチェンジ」と命名する新球をマスターすることに成功した。メジャー特有の硬いマウンドに対しても、柔軟な対応力を発揮する。

「ジャイアンツ時代、いつも桑田さんと一緒にオーストラリアでトレーニングしていました。僕らが練習する球場は整備が行き届いていなくて、マウンドもカッチカチでした」

 このとき桑田からは「このマウンドで投げられれば、メジャーでも問題ないよ」とアドバイスされたという。

「その経験があったから、メジャーのマウンドもオーストラリアのマウンドと比べればはるかに投げやすかったです」

◆「このボールは絶対に通用する」と太鼓判

 こうして、岡島は緊張感とともにレッドソックスのスプリングキャンプに臨んだ。「自分は通用するのか?」という不安もあった。しかし、その思いは一瞬にして氷解する。きっかけをくれたのはキャプテンであり、女房役でもあるジェイソン・バリテックだ。

「キャンプ中にブルペンで投げたときに、バリテックから『このボールは絶対に通用する』と太鼓判をもらいました。さらに、『このボールはオープン戦の間は絶対に投げるな』と念を押されました」

 バリテックの念頭にあったのは、開幕早々の4月に予定されているヤンキース戦だった。同地区で戦う宿命のライバルであるヤンキースを倒さなければ、リーグ優勝も、ワールドチャンピオンもない。

「バリテックはヤンキース戦を見据えて、あえてスプリットチェンジを封印したんです。そして、『オープン戦では打たれても構わないから』と言ってもらいました。この言葉はとても力強かったですね」

 メジャーを代表する名捕手からのお墨付きは自信となった。こうして’07年シーズンが幕を開けた。カンザスシティ・ロイヤルズとの開幕戦、いきなり岡島の出番が訪れる。それはまったく予期していなかった波乱のデビューとなった――。

【岡島秀樹】
1975年、京都府生まれ。1994年、ドラフト3位で巨人に入団。’06年、日本ハムへトレード。’07年、レッドソックスへFA移籍。’12年、ソフトバンク、’13年、アスレチックスでメジャー復帰。’14年、ソフトバンク、’15年、DeNA。’16年、引退

撮影/ヤナガワゴーッ! 写真/時事通信社

【長谷川晶一】
1970年、東京都生まれ。出版社勤務を経てノンフィクションライターに。著書に『詰むや、詰まざるや〜森・西武vs野村・ヤクルトの2年間』(インプレス)、『中野ブロードウェイ物語』(亜紀書房)など多数

―[サムライの言球]―

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