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巷のインドカレー屋が急増する“悲しい裏事情”。日本向けにローカライズされた魔改造ナンも

日刊SPA! / 2024年5月9日 15時52分

◆日本語が飛び交う、移民の里「バグルン」へ行って

日本に出稼ぎにやってくるネパール人は、山奥に存在する「バグルン」の出身者が大半だという。室橋さんは本の執筆にあたって現地へ足を運び、自らの目で確かめてきたそうだ。

「出稼ぎや海外留学を斡旋してる看板や情報が街中に溢れていました。だからか、若者のほとんどが出てしまってる感じです。いたとしても同じように出たいと思っているか、ビザの申請中とか。 特に田舎の村に行けば行くほど目立つのは老人と子供ばかりでしたね」

中心地のバグルン・バザールに行った時、日本の存在感が異様に強いことに驚いたという。

「歩いてたら突然『NISSAN MOMO』という食堂を見つけて、聞いてみると親戚が日産の工場で働いてたからって。食器屋に入ってみたら、『うちは日本に出稼ぎに行く人たちがカレー屋で使う食器を買ってくんだ』と言ってたり。すれ違いざまに『今日本のカレー屋で働いてるんだけど、休暇で帰ってきてるんだよ』と日本語で話してきたりとかで、びっくりしましたね」

日本へ出稼ぎに行っていた人や、現在進行形で行っている人、または家族の誰かが行っているという人も。 カレー屋だけではなく自動車工場で働いていた、働いている人たちが多いのだという。そのなかでも印象に残っているのが突如話しかけてきた現地の子供たちだった。

「突然子供たちがぼくの目の前にやってきて、『アーユージャパニーズ?』と聞かれたんです。そうだよと答えると、『今、日本でお父さんとお母さんがカレー屋で働いてます。僕も将来は日本に行きたいです』と、綺麗な英語で言ってきました。でも正直この子たちが日本に来てどうなるのかな、はたして幸福なんだろうかっていうことを考えてしまい、すこし胸が苦しくなりましたね」

◆人生をかけて日本にやってくるネパール人にリスペクト

現在、日本では円安問題や経済不況だと騒がれているが、それでも日本に来たいと思っているネパール人はまだまだたくさんいると室橋さんは言う。最後に、バグルンまで行ってみて、もっとも印象に残ったことをうかがった。

「やっぱ遠いなっていうことですよね(笑)。文化的にも地理的にも遠い。あの山の果てからこの日本まで来てカレー屋を開く。しかもネパール料理じゃなくてインド料理屋って…… すごい大変なことなんだなって実感しました。

じゃあ日本人がバグルンで、中華料理屋をやれって言われても無理じゃないですか。でも彼らはそれをやってきている。しかもネパールよりも経済的に発展している国に来ているわけだから、相当頑張って何段もステップを超えて、ここまで来てるんだなっていう。この人たちはやっぱり只者じゃないなって。リスペクトを感じましたね」

棚田が連なっていて日本の美しい原風景を想起させるバグルン。広々とした家の周りは石垣に囲まれ、敷地内の畑ではハーブや野菜、豆を育てていたという。庭の木には果物がなり、裏の川では魚が取れる。人里離れたネパールの山奥から人生をかけてやってくるネパール人たちのメンタリティに感服せざるを得ない。

日本が閉ざさない限り、これからもカレー移民は増え続けていくのかもしれない。

<取材・文 /桃沢もちこ、撮影/藤井厚年>

【桃沢もちこ】
’93年生まれのフリーライター。社会問題からトレンド、体験取材まで幅広く書きます。アイドルオタクに詳しい。Twitter:@mochico1407

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