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「女の子だから」父に褒めてもらえず…“困難な環境”で育った女性画家が強い劣等感を克服するまで

日刊SPA! / 2024年5月12日 15時54分

◆“風変わりな父”が兄ばかり褒める理由は…

 大河原氏は実際、父親に「なぜ自分を褒めてくれず、いつも兄ばかりなのか」と問うたことがある。

「そのときの父の回答は、微笑みながら『愛は女の子だから……』でした。どんなに努力をしても、父親から認められることはないと気づいた瞬間でした」

 兄しか褒めない父親。身体的な虐待を受けているわけではないものの、緩やかに苦しい時間が続いた。何かの折に父に刃向かえばすぐに「出て行け」と言われ、親から守られている実感を得ることはない。学生時代の大河原氏は、「自分はなんのために生きているのか」という思いに陥ることもあったという。

「大人になってから気づいたのは、父はかなり風変わりな人だということです。母の親族の集まりに行って、そこで母のことを小馬鹿にして顰蹙を買ったり、レストランでも味にケチつけたり、人の気持ちへの共感性が欠落しているように思えました。

 また、家の中はいつもモノだらけで、父の服が詰まったタンスや10年以上前の新聞や本、ビデオなどが山積みになって、通路も狭くなっていました。家族全員で片付けるようにお願いしても、『読むんだ』『捨てるな』の一点張り。片付けると怒られます。お風呂やトイレはまめに洗うし、入浴は毎日長時間入り、外出時の服装も清潔感がありました。にもかかわらず、とにかく自分の荷物を捨てようとしない。家の中も不衛生さはないものの、タンスの上まで父のモノが置いてあって、落ちてきそうで安らぎを感じられない家でした」

◆たまたま入った美術部が居場所になった

 父親の言葉に傷つき、翻弄された子ども時代。本人に悪気がないため、いくら話しても周囲の気持ちは伝わらない。

「父の空気を読めていない発言も、悪意からくるものではないと知っているからこそ、複雑な思いでした。父の自己中心的に見える言動の受けとめ方もわからないし、自分の気持ちをわかってもらえない辛さに打ちひしがれる日々でした。小さい頃にこのような父を見ていたからこそ、『人の気持ちや痛みに寄り添えるひとでいたい』『人に優しい言葉をかけられる人でいたい』と強く思うようになりました」

 父親から認められず、自己否定されたように感じ続けてきた大河原氏が絵画と出会ったのは、中学生の頃だ。

「中学では運動部に入りたくなくて、たまたま美術部に入部したんです。そこではじめて鉛筆デッサンを教わったら顧問の先生が、『うまいじゃないか!』とすごく褒めてくれました。両親からろくに褒められたこともない私は、初めて人から褒められたように感じて……自分はここに居ていいんだと思えた瞬間でした」

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