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「シングルマザーはだらしない」という心無い声も…物件を契約できない“住宅弱者”の実態

日刊SPA! / 2024年5月15日 15時52分

「弊社が行っているのは、住宅を借りたくても借りられない人に対する居住支援です。シングルマザーのシェアハウスには特に力を入れていて、2棟10室をシングルマザーに向けて運営しています。理由としては、経済的な基盤がないことには自立ができないため、まず住まいを提供しようと考えたからです。そのほか、空き家活用事業として障害者のグループホームに物件を貸しています」

 竹田氏が利幅の大きな物件の仲介手数料に目もくれず、社会の片隅で困っている人々のためになる居住支援を行う背景には、こんな過去が関係している。

「物心ついたときから母が人工透析をしており、家庭では母に代わって料理などをしていました。家族の面倒をみていくうちに、面倒見のいい人間になってしまったようです(笑)。その後も、部活動でマネージャーに選ばれるなど、その路線を突っ走って、現在でも困っている人がいると手を差し伸べたくなってしまいます。

 社会人経験を経て独立した当初、私にはやってみたいことがありました。それはこども食堂です。自分自身もシングルマザーだったこともあり、他人事ではいられない感覚がありました。しかし調べていくと、子ども食堂の立ち上げには多額の資金が必要でした。それならばと、シングルマザーの貧困問題を解決するため、シェアハウスを立ち上げることになったのです」

◆「子どもを部屋から閉め出す入居者」は実は…

 シングルマザーと貧困がセットになってしまっている現状を変えたい。そんな思いでシェアハウスを立ち上げ、事業は軌道に乗った。お互い似た事情を持つ人たちが、支え合いながら暮らす。それは保育料などの節約にも一役買ったのだという。そして2023年には念願だった子ども食堂「めぐみキッチン」をオープンさせた。

 だがもちろん、すべてが順風満帆だったわけではない。それなりの辛酸も舐めた。

「立ち上げ当初の話です。あるシングルマザーの方が入居したのですが、入居初日から子どもを部屋から閉め出していきなり他のお部屋に泊まるということが起きたのです。他の入居者からの評判も悪く、頭を悩ませていたところ、その方の兄と名乗る方から連絡がありました。驚いたのは、『妹は統合失調症です。ご存知なかったんですか?』というんです。病気のことを伏せて入居したんですね。

 私は精神障害者を一律に拒否しようとは思いませんが、シェアハウスは緩やかな共同生活なので、それに適合しない方は治療を優先させるべきだと思っています。この方の場合は、最終的にはご家族の強い希望で入院することになりました。また、このことがきっかけで障がい者の住まいが一般賃貸の他に必要だと思い、グループホームを始めることになりました」

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