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モノを壊しまくる“Appleの新CM”に批判が殺到。それでもブランディングとしては「成功」と言えるワケ

日刊SPA! / 2024年5月15日 8時53分

 5月9日、SNS上で大きな批判を受けたAppleは、「的外れな広告だった」と謝罪。テレビ放映も見送ると発表した。この顛末を見ると、「Crush!」は失敗したCM広告に思えるが、じつは「ブランディング×炎上」という戦略に見事にハマっていたと松下氏は続ける。

「今回のCMは、Appleが当初思い描いていた場所とはちがう所に着地してしまいました。けれど、新型iPad Proは確実に私たちの脳裏に焼きつきましたよね。そういった意味では、ブランディングとしては成功しているといえるでしょう」

◆映像はグロかったが、実にAppleらしい広告

 そして、もうひとつ。今回のCMで批判的になったのは、若い世代なのではないかとも推測している。古くからのファンにしてみれば、AppleらしさにあふれたCM作品なのだという。

「実は、Appleはこれまでにもセンセーショナルな広告をいくつも打ち出しているのです。特に、世界的に大きな話題となったのが、Macintosh(マッキントッシュ)の発売CM『1984』です」

 AppleのCM「1984」とは、ジョージ・オーウェルの小説『1984』にインスパイアされて作られたMacintoshの新発売CMだ。封建的な社会に洗脳された人々が、大きなスクリーンの前に座る中、女性アスリートがスクリーンにハンマーを投げつけて大爆発を起こすという内容だ。

 また、CM中にMacintoshのビジュアも商品の具体的な説明もなく、「1984年1月24日に、AppleはMacintoshを発表する」というメッセージで締めくくられる。自分たちの主張を全面的に出した、なんとも挑戦的・挑発的とも受けとれられるCMだった。

◆賛否両論でもブランディングとしては成功

「当時は、パーソナルコンピューターといえばIBM一択でした。また、大変高額だったため、一般人が簡単に手を出せるものではありませんでした。このCMには、そんな閉ざされた世界を解放し、コンピューターを世界中の人々の手に届けたい、そういった想いがこめられていたのです」

 このCMは、アメリカンフットボールの祭典ともいわれるスーパーボウルで放映されると、大きな反響を生んだ。もちろん賛否両論を呼んだが、最終的にMacintoshは発売前から大注目を集めることとなり、販売台数も大きく伸びた。

「センセーショナルで挑発的で……。見た者を良くも悪くも引き込むCMでしたが、『1984』はカンヌ国際広告祭をはじめとする数々の広告賞を受賞しました。結果的に、それだけの評価に値する広告だと世界的にも認められたのです。それに『1984』の後には、ガジェットを破壊するといった、これまた刺激の強い広告も発表しています(苦笑)。『Crush!』を見た昔からのAppleファンは、『Appleらしいな』とも思ったことでしょう」

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