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モノを壊しまくる“Appleの新CM”に批判が殺到。それでもブランディングとしては「成功」と言えるワケ

日刊SPA! / 2024年5月15日 8時53分

◆Appleに覚悟はあったのか?

 松下氏はブランディングの専門家として本当に残念だったのは、すぐに謝罪文を発表したことだという。さらに、そこにはCMに込められた想いや製品に託された希望、Appleが持つ信念などは見られなかった。

「実は、今回の一連の流れは、キリンの『氷結無糖』の広告取り下げとほぼ同じなんです。ブ ランディングの観点からすると、Appleが世間のド肝を抜くようなCMを発表したことよりも、信念なき謝罪をしたことのほうが問題だと思っています」

 本連載で以前に取り上げた<キリン「氷結無糖」の“成田悠輔氏”広告取り下げが起こった本当の理由>の記事では、イメージキャラクターを選定する前に、ブランドや商品のポリシーを貫く覚悟を持つことの必要性を説いた。

 そもそも、モノがあふれる現代では、万人に好かれる商品が生き残ることは難しく、ブランドや商品がオリジナルのこだわりやポリシーを持ち、それに共感するファンを生み・継続する作業に注力しなければならない。そして、ブランドがポリシーを貫いた結果、ファンもアンチも生まれる。非難を受ける可能性があるという覚悟が必要だ。

「当時、スティーブ・ジョブズと共同経営者のジョン・スカリー以外の役員は『1984』の発表を反対したと聞きます。しかし、スティーブ・ジョブズたちは、パーソナルコンピューターの新しい世界を切り開くためには必要なことなのだと、大多数の反対を押し切って、CM公開を強行突破しました。『世界中の人々にパーソナルコンピューターを届ける』という信念を貫き通したのです」

◆主張は変えず・隠さず公表する

 時代の変化とともにさまざまな規制が生まれ、時世的に面白い広告が打ちにくくなってきていることは事実だ。しかし、イノベーティブがしにくい苦しい時代だからといって、万人に好かれる中庸を選択することほどの悪手はない。

「これはAppleに限らず、すべてのブランドや企業に言えることです。ブランドを確立するために、どんな手法を使い、どんな戦略を打つのか。また、どこまでやるのかを吟味しなければなりません。

 そして、オリジナリティーを持たせて注目を集めるためには、尖った部分も必要です。場合によっては批判も受けるかもしれません。それでも、主張や信念は変えず、決して隠さない。そんな覚悟を持って、まっすぐに突き進んでいただきたいですね」

<取材・文/安倍川モチ子>

【松下一功】
経営コンサルタント、共感ブランディングの提唱者。株式会社SKY PHILOSOPHY 会長。40年近く、企業アイデンティティーやブランドコンセプトの確立を専門とし活動。2011年より「真のブランディングを世に伝える」ことをミッションに、講演、講師、コンサルティングを行う。2024年、著書『共感ブランディング®ドリル』で、自身の体系的オリジナルロジックを一般公開。ブランディングのわかりやすい実践書として高評価を得ている

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