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ランチ需要の奪い合いが激化。コンビニ業界の「意外な苦境」と、“ファミレス業界首位”の生き残り戦略

日刊SPA! / 2024年5月25日 8時53分

◆売上はコロナ前まであとわずかに回復

 すかいらーくの決算資料から損益状態を見ると、

【すかいらーくHD(21年12月期~23年12月期)】
売上:3754億円→2646億円→3548億円
原価:1140億円→815億円→1149億円
粗利益:2613億円→1831億円→2399億円
原価率:30.4%→30.8%→32.4%                                  
営業利益:2056億円→1821億円→1169億円
営業利益率:5.5%→6.9%→3.3%

 となっている。業績をコロナ前・コロナ禍・コロナ収束後で分析して見ると、コロナ禍はどこも売上が最低で、すかいらーくも同様に落ち込んだが、2年後の収束を契機に売上は約900億円も増加させてコロナ前まであとわずかと迫っている。

 しかし、原価管理に定評があったすかいらーくも、さすがにこの物価高には原価管理にも限界があり、30%台の原価率が約2ポイント上昇している。それでもこの低く安定した原価を実現できるのは、スケールメリットのあるグループの食材調達力を活用した仕入れ力、傘下の他業態の売れ筋をメニューに加え、バリエーション豊かなメニュー構成にしながら、食材を共通化し、在庫を減らしながら無駄を削減し、廃棄ロスも低減する仕組を確立しているからであろう。

 経営基盤が盤石だったすかいらーく、コロナではさすがに大打撃を受けてしまった。今は再復活を目指し、グループ全体のブランド・ポートフォリオをより効果的なものにしていく努力をしているようである。

◆外食を産業化した立役者の今後は?

 高度経済成長期に、人々の食生活の外食といった形で、幸せなひと時を創出してきた外食御三家の一角であるすかいらーく。1990年代後半から約30年に渡って続いたデフレに適合させ、中間志向から低価格路線にシフトして、ガストという新業態で多くの消費者に支持されてきた。それが最近では、外食が急成長した時に支えてきた年代であるシニア世代を取り込もうとさまざまな企画と販促を提供している。

 外食慣れしたシニア世代を吸引することはけっこう大変である。まず、売上対策として、

①内容を充実させた価値ある高単価商品の導入
②ちょい飲み客の集客

 に取り組んでいるようだ。後者に関してはおつまみ小皿と低価格のアルコールメニューの拡充で追加点数を増やし、客単価を向上させる仕掛けづくりなどに取り組んでいる。利益確保策としては、どこよりも早く、飲食版DXを推進して経営効率を高め、機会損失の防止策と人手不足対策を徹底して生産性を向上させている。

 もともと日本人は、世界の中でも価格と品質・内容のバランスに対する目が最も厳しいと言われてきた。この物価上昇の中でより厳しくなると提供側は戦々恐々としている。外食を手控える人が多い中、今後も限られたパイの奪い合いがし烈になってくるだろう。その競争から生まれる恩恵を消費者は楽しみにしているようである。

<TEXT/中村清志>

【中村清志】
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan

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