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「白目の面積を大きくする整形手術を受けた」37歳女性がお化け屋敷で“驚かせること”に人生を賭けるまで

日刊SPA! / 2024年5月26日 15時53分

「チャンスをいただけたことはありがたかったのですが、結構過酷な環境だったと思います。私たちの居住エリアは、お化け役の人たちの控室です。そこにブルーシートを敷いて暮らしていました。当時、私は30歳前後だったと思います。30歳、住所・お化け屋敷の女でした(笑)。場所がアクセスの良いところではないので、そもそもそんなに集客ができず、そうした意味でも困りました。くわえて、私たちの居住エリアと炊事場の間にお化け屋敷があるという間取りなので、毎回ご飯を持ってくるときとお茶碗を洗うときは、惨殺死体の模型が転がっているところを通り抜けなければなりません(笑)。懐中電灯を口にくわえながら、恐る恐る歩いたりして、本当に怖かったですね」

 自分で選んだ道とはいえ、おそらく多くの人が一生することのない体験を重ねた。だがその先に、救いの手は差し伸べられた。

「あるとき、株式会社バンダイナムコアミューズメントさんからお仕事をいただきました。それから徐々にメディアからの監修依頼なども増えてきました。今はさまざまなご依頼に対応できるように、コンセプトごとに演者や小道具を使い分けてクライアント様のご希望に添えるオーダーメイドのお化け屋敷を展開しています」

◆「驚かせる」うえで喜びを感じる瞬間は…

 わっと驚かせる。たったその一瞬に賭ける今出氏の思いとは、どのようなものか。

「私は人が驚いているのを見て、あるいは自分が人を驚かせて、そこに喜びを感じているわけではないんです。お化け屋敷にみんなで行き、わかっているのに驚いてしまう圧巻を味わってほしい。きっとそこには隣に家族だったり恋人だったり友人だったりがいるはずで、その一瞬一瞬が思い出になっていくと思うんです。

 友だち同士で入って、みんな怖いのに我慢する男子学生。泣いちゃった子どもに『お父さんは強いから大丈夫だぞ』と話しかけるお父さん。抱き合って出口から出てくるカップル――ひとりひとりと話すわけではないけれど、その人たちの思い出のお手伝いをさせていただいているようで、この仕事が大好きです」

◆「白目の面積」を大きく見せるために整形手術を受けた

 だとすれば、今出氏は恐怖の種となる死者に対しても、こんな哲学をもって仕事に向き合う。

「『お化けを商売道具にして、呪われたりしないの?』とよく聞かれます(笑)。ただ、私の考えはこうです。もし自分が幽霊の立場だとしたら、自分たちを茶化したり馬鹿にしたりして利用している人間のことは許せませんが、こっちが引くほど本気で取り組んでいたらむしろ応援したいと思うはずなんです。私はホラーアクターの子たちにも、『必ず本気で演じなさい』と言うようにしています。人を驚かせることは、そんなに浅い話ではありません。本気で取り組むことで、生きている人はもちろん、亡くなった人も驚くような演技を見せたいと思っています」

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