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木村拓哉、篠原涼子「往年の視聴率俳優」に強まる逆風。“変わらないキャラ作り”には既視感も

日刊SPA! / 2024年5月30日 15時50分

 岩盤支持層である50歳以上の女性にはたまらないだろうが、10代を含むコア層を惹き付けるのは難しい。木村以外の出演陣も天海や上川隆也(59) 、北大路欣也(81) 、田中哲司(58)ら渋い面々が揃っているのだから。

 この体制を敷いた制作陣だって、高いコア視聴率を獲得するのは難しいことがあらかじめ分かっていたはず。アウトロー刑事役で若い世代に人気の竹内涼真(31)、弁護士役で斎藤工(42)を配し、コア層にも色気を見せているが、全体的にはF3向けであり、その通りの結果となっているのが実情だろう。

 だから、コア視聴率については木村を責められない。ただし、作品のクオリティを高めるために、木村に出来たことがあったのではないか。作品に合わせた役づくりである。

◆男性受刑者役なのに、髪は切らない

『教場0』の風間公親は白髪、義眼で、表情と口調は硬く、老成した人物であることが伝わってきた。一方で狩山陸は服役中もどこか爽やか。脱獄後も焦燥感や苦悩はほとんど感じられない。

 少なくとも服役中は短髪にしたほうが良かったのではないか。法務省の訓令では、男性受刑者の髪は原則として2ミリか1.6センチに刈り上げることと定められている。1つのことが迫真性を欠くと、全体の現実味が損なわれてしまう。また、服役による辛苦も感じにくかった。

 往年の木村の役柄を知る岩盤支持層は、服役中だってカッコ良く、何事もスマートにこなす狩山のほうが良いのかも知れない。しかし、男性視聴者や若い世代には物足りないのではないか。

 木村とよく比較される故・田村正和さんはデビュー以来、2枚目役に徹していたが、53歳だった1987年に転機となる作品と出会う。プロデューサーに熱心に口説かれて出演したTBSのコメディ『パパはニュースキャスター』(1987年)である。

 田村さんは変人だが、愛すべき2枚目半に扮した。これにより役柄の幅が飛躍的に広がり、同『カミさんの悪口』(1993年)、フジ『古畑任三郎シリーズ』(1994年~2006年)などのヒット作を次々と放ち、新たな黄金期を迎える。木村もそろそろカッコ良さと決別してもいいのではないか。

◆篠原涼子“30代小悪魔風”という既視感

 一方、篠原涼子のフジ『イップス』は視聴率面で大苦戦。5月24日放送の第7回は個人視聴率2.6%で12位、コア視聴率は1.2%で13位だった。

『古畑任三郎』と同じく、最初から殺人犯が分かっている倒叙ミステリーだが、脚本は『古畑任三郎』の域に達していない。まず犯人が驚くほど簡単に人を殺してしまう。トリックも練られているとは言いがたい。

 それより大きいのが、篠原の役柄に既視感が強いこと。演じているのは小説が書けなくなったミステリー作家・黒羽ミコで、バカリズム扮する刑事・森野徹と共に事件を解決するのだが、ミコの人物像は小悪魔的かつ自己中心的。能力は高いが、非常識。篠原が長年、得意としてきた役柄の1つである。服装も30代風だ。

 周囲の俳優は変化を遂げているにもかかわらず、篠原だけ変わらないのは観ていて辛い。やはり、そろそろ過去を捨ててみるべきなのではないか。<文/高堀冬彦>

【高堀冬彦】
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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