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山﨑賢人は“トム・クルーズ以上の俳優”ではないか。「スターでい続けられる理由」を考察

日刊SPA! / 2024年6月3日 8時51分

夢枕獏原作によるこのシリーズだと正直、『陰陽師』(2001年)の野村萬斎の美しさには敵わないかと思った。その野村や放送中のNHK大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)のユースケ・サンタマリアなど、目が細めの俳優たちによって安倍晴明俳優像はイメージされてきたのだが、山﨑が演じる青年期となるとなるほど、キツネ目の系譜を換骨奪胎。ポンポコポン、頭に葉っぱ1枚のせたたぬき顔変化(?)みたいな雰囲気で新たな安倍晴明像が浮かび上がる。

『陰陽師0』がこれまでの作品と決定的に違うのは、鬼の存在が信じられていた平安時代にあって、鬼の存在など陰陽寮が吹聴する嘘だと喝破する若き晴明の解釈にも起因する。晴明からすれば、ただ事実がそこにあるのに、暗示にかかった人々が勝手な主観を真実だと説いているだけだと。全ては偽物。そんな世相を読み解く透徹した眼差しは、『オオカミ少女と黒王子』の佐田恭也さながらの批評眼だ。クールな性格まで瓜二つ。

思えば、『L・DK』、『ヒロイン失格』などを通じて山﨑が繰り返し演じてきたのは、“過去に何かを背負った人物”だった。『陰陽師0』の安倍晴明もその意味で山﨑的キャラクターの代表格に位置付けるべきだろう。ただひとり、本物の存在である晴明の気迫に満ちた決め台詞「そう、あなた方と違ってね」は、30歳を目前にしたスター俳優の総決算として響いた。この台詞を噛み締めれば、単なるラブコメ映画のひとつに過ぎないという評価にとどまった『オオカミ少女と黒王子』が、ほんとうは事実、時代を代表すべき「あなた方と違ってね」作品だったことに気づくはずだ。

<TEXT/加賀谷健>

【加賀谷健】
コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションでR&B部門を立ち上げ、企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆。最近では解説番組出演の他、ドラマの脚本を書いている。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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